PS3

PS3の真実-4
使いこなしてこそ真価を発揮する 吉田伊織 Iori Yoshida


 そこでシールドタイプの電源ケーブルを装着したい。筆者は手持ちの関係でベルデンのシールド仕様のものを使っている。以前プロ機材店で購入した2mmスケアの芯線が入っているケーブル素材であり、インレットプラグは自分で取り付けている。低価格だが厳重なシールドがほどこされている良品だ。ただし、PSE法の関係だろうか現在は完成品にしても輸入されていない。その音質については、オーディオアンプに使った場合ちょっとゴム質のトーンになり、好き嫌いが分かれそう。これは、芯線内部にシリコンゴムの耐熱保護層があるのが主因だろう。とはいえ、情報量が十分確保された上でのしっとりした音質傾向は悪くないと思う。
 PS3に装着し、CSEの金属筐体の電源タップに接続すると、まずは画質の向上が明らかになった。輝度レンジが広がり明るくなってくるし、暗部は十分引き締まっている。それにじわりと立体感が立ち上ってくる。こういう現象は、導体断面積が太くなり、アルミ箔の厳重なシールドによるノイズの減衰のためだろう。シールドがノイズを漏らさないというより、ノイズをショートさせて消耗させる効果があると思う。音については見通しがよくなり、細部の繊細な輪郭線に表情がしっかり肉付けされる印象。これでこそCDも鑑賞できるようになる。

電源のノイズ対策は必須

 今回はいよいよ使いこなしについて報告することになった。「いよいよ」というのは、オーディオやAVの趣味としてはこれが一番楽しいと信じているので、やりがい、書きがいがあるということ。PS3はそのままでも高品位の映像と音声だが、高級な映像システムの一員にするためには使いこなしが必要だ。

 まずは電源から。PS3は消費電力が最大380WもあるのでLSIや電源から発生するノイズも強力だろう。付属の電源ケーブルはごく簡素なものでありノイズ対策が必要だ。幸い電源の入力端子は標準的な3極型であり、そのアースピンは内部回路のアースに接続されている。

PS3の裏側。右端が電源ケーブル。大理石の板の上に木製ブロックを介して支持している



PS3
空の電源プラグを並列に装着。
アース極のみギター弦を接続してノイズを逃がす
USBプラグのアース側に床アース線を接続
絶縁トランスは特効薬

 次に電源のノイズを遮断する特効薬として絶縁トランスを使う。ここでは筆者が特注したRコアトランスを使用。実験用なので見てくれが悪くて写真は遠慮するが、静電シールドを厳重にほどこしたものだ。絶縁トランスは電圧比がほとんど1:1である電圧を調整するのが役目ではない。しかし一次と二次のコイルの間は電磁結合されているだけで導通していないので、やっかいなコモンモード(同相)ノイズの遮断効果が高いのが利点だ。その効果はLCを使ったライン挿入型のノイズフィルターとは桁違いだが、ここではTDKのアダプター型ノイズフィルターを併用している。得意とする遮断帯域が絶縁トランスはMHz以下、LCフィルターはMHz以上という違いがあるからだ。

 その画質効果は、電源ケーブルを交換した時に似ているが、一層彫りが深くなる。暗部の底がもう一段掘り下げられ、陰影の表情がしっかり出てきた。これでこそ写真の造形的な魅力が味わえるだろう。音質についてはスケール感が向上するのが特徴。これは微小情報が無音の境界まで漸近線的に延びるようになり、音のエンベロープが大きく形成されるからだ。それに微小情報の勢いが増してきた。これでこそSACDも鑑賞できる。
 ちなみに、電源タップ(給電ボックス)においては、隣にACプラグを空挿ししている。これはそのアース極にギターの低音弦を接続して空中に垂らしているのが特徴。この「アンテナ」によりノイズを空中に逃がすねらいだ。次に報告する「床アース」の応用ということ。



PS3


床アースの効用に注目

 以上はそれなりの投資が必要な対策だが、極めて低コストの対策も紹介しよう。床アースというのは、裸のアース線を床に垂らすだけにしておく方法だ。たとえばPS3には前面にUSBポートが4つ揃っているが、そこに何をどう接続するべきか? 
 コントローラーについては、左端に接続するといいようだ。基板の左端隅だからこの辺りは外部から見て基板のアースパターンの電位傾度が高くなっているだろう。そこに長いケーブルが接続されて外部に引き出されるので、電位を安定させる効果が推測できる。右端のポートには手持ちのUSB-RS232C変換ケーブルを装着して床に垂らしている。これでわずかに映像の鮮度、透明度が向上する。
 こうした効果をより明確にするためにアース線を接続してみた。といっても特殊なものではなく、使い終わったギターの低音弦を活用する。クラシックギターの低音弦は、細いナイロン繊維を束ねた芯線の上に太い銀メッキの銅合金線をそのまま巻きつけている。つまり高周波電流はむき出しの銀メッキ線の表面を通りやすいので、ノイズを外部に逃がしやすいことになる。しかもぐるぐるコイル状に巻かれているので、高周波的に見ると負荷効果が生じるだろう。つまり周波数が高いほど通りにくくなるので空中に逃げやすくなり、アンテナとしての効果が発揮されるわけだ。

前面のUSBポート。左端がコントローラーでこれのみ使用。
右端はUSB-RS232C変換ケーブル。
これと左側のUSB変換アダプターに床アース線を接続している
LANケーブルを延長するための中継端子。
これを付けて床に置く
 実際にUSBプラグのアース側にギター弦を半田付けして床に垂らしてみるとどうだろうか? 透明度がさらに向上し、繊細情報が素直に析出してくる。音質にしても、声にともなうわずかな余韻がよく聞こえ、臨場感や演技力が高まってくるのが面白い。
 使用済みのギター弦は錆びやすいので、時々交換する必要があるのが欠点だ。ギターを弾かない人は新規購入になるが、一番太い6番弦でもバラ売り数百円だからさしたる出費ではないだろう。新品なら錆にくいだろうし。安物は銀メッキが薄かったり、材質が粗悪なので効果が薄いかもしれない。また長持ちさせるために表面コートをしたものは効果がない。銘柄による効果の違いは試していないが、筆者はもっぱら「アランフェス」の「コンサートシルバー」を使っている。
 付属のAVマルチケーブルは、使わない場合でも床に垂らしておくとやはり画質音質に効果がある。これだとコストゼロで試せるだろう。それとLAN端子だが、60GBモデルは無線LAN仕様なので、そのノイズを防ぐためのは、使わない時でもLANケーブルを装着しておいた方がいい。先端はどこにも接続せずに床に垂らしておく。さらには、どういうわけか写真のように中継端子を装着しておくともっと効果がある。接点が長く延びたまま開放端になっているのでノイズの放射効果が高まるのかもしれない。
 もうひとつ、写真のようにUSBの変換アダプターを空挿している。その効果は微妙すぎて分かりにくいし、ひとつくらいは未装着にしておいた方がいいかもしれない。しかし、アース線をひとつの変換アダプターに接続したところ、画質音質の改善効果がはっきりしてきたので、結果として写真のような具合になった。本機のUSB端子は2連のものを使っているので、アース線はその一方だけで結構だと思う。



PS3

 そこで100円ショップで入手できる大理石板を敷き、その上に半円状の凹みのある木製ブロックを非平行に配置した。これも東急ハンズ製だ。S/Nが向上し、細密な情報がきれいに浮き上がってくる。わずかにきらびやかさがあるが、音色の幅は広い。
 木製ブロックを使う注意点としては、断面の木目が縦縞になっているものを選ぶべきということ。地層のように横縞になっていると、下へ向かう振動が多層のフィルターやノード(節)を通過することになり、木の響きが濃くなる傾向にあるのだ。縦縞だと振動が逃げやすく、適度な内部損失になるだろうという発想だ。
 現状ではこれで一応まとまった音質になっているが、最終形だとは考えていない。この他、カマボコ状天板にオモリを乗せる方法は「かないまる」氏が紹介している。また振動対策用のチップを貼り付ける方法もある。これは天板より背後の通気口付近の方が効果があった。振動対策用パッチの中にはおいしい響きを付加するものがあり。天板だとその個性が強く出すぎることがあるからだ。
 というわけで、まだ終わったわけではないが、以上に紹介した対策をひとつでも試していただきたいと願っている。ゲーム機はデジタルの塊だけれど、ほんの少しの工夫でも結構品位が向上するものだ。それはまた、PS3が高級なAV機器の資質を備えているからでもあるだろう。
シリアルATA仕様のHDDのカバーを外す。
これで内部の振動が逃げやすくなる
100円ショップで購入した大理石板。その上に円い凹みのある木製ブロックを支持脚として設置する。ハの字に開く
木製ブロックの断面。木目が縦に走っているのに注目。この方が振動を逃がしやすい

振動対策も重要

 こうしてノイズ対策を詰めていくと情報密度がぐっと向上することだろう。しかし振動対策もお忘れなく。
 まず一番簡単な対策は、左側にあるHDDのカバーを外すことだ。通気がよくなり、内部の振動が外に逃げやすくなるので有効だ。これはメーカー筋と思われる「かないまる」氏のページでも紹介されている方法だ。ただしソニーの話しでは、HDDは換装式なので、丈夫なテープなどで固定する方が安全だという。
 次には脚と置台に注目。そのまま設置するとすごく小さなゴム脚で浮かせているだけであり、これでは狭い面積に大きな重量が掛かるのでゴムのキャラクターが加味されやすい。
 そのため、当初は東急ハンズで売っている底面30mm径の木製半球により3点支持していた。設置面は21mm厚のシナ合板であり、なじみは悪くない。映像も音も透明度や奥行き感がわずかながら向上する。ただし音のスケールとか密度感はもうひとつ。