S-PM300

音楽を愛する人へ
森からの贈り物。

Pioneer
ピュアモルトスピーカー
S-PM300
価格:¥70,000(1本)
詳細:→Pioneer

河村正行 Masayuki Kawamura

サントリー・コラボレート・
パイオニア

 第4世代のS-A4SPT-PMはコンパクトながらTADの技術を取り入れた
ウーハーを採用し、セルティーオーク色のヴィンテージピュアモルトスピーカーS−A4SPT−VPをラインナップに加えた。PM300はA4をダブルウーハーにしたモデルである。本体だけの写真を見ると、大型のトールボーイ型に見えるが、実物は実にコンパクト。A4SPTの高さを約2倍にしたと思えばいいだろう。
 何といっても無垢材の木目が魅力的だ。ウイスキーを熟成させる樽には樹齢100年を超えるホワイトオークの大木が使われ、木質は硬く、緻密。それを樽に形成してウイスキーのモルトを長い時間かけて熟成させる。その歳月は50年から70年以上。その樽材は熟成が終わっても厳選された最高級の素材だ。
 ウイスキーの樽材としての役割は終えても板材としてはまだまだ使える。脂分が抜けるなど、枯れているのもスピーカーのキャビネット材としては最適。そこに注目したのがパイオニアで「サントリー・コラボレート・パイオニア」の烙印が押してある。

熟成されたホワイトオーク樽材の質感を生かしたデザイン。美しい木目と、無垢材ならではの香り高い音色は、他に代え難い魅力がある。
キャビネットは
無垢のホワイトオーク材

 仕上げのきれいなスピーカーは数々あれど、これはウイスキー樽の無垢のホワイトオーク材をキャビネットに採用。無垢材の集成材のため、同じ柄のスピーカーは2本とない。まさに世界にたったひとつのスピーカーだ。サントリーの山崎工場でウイスキー作りに使われた樽材を使ったピュアモルトスピーカーも第5世代になる。初代のS-PM1000-LRを開発したのは1998年。好評だったことから、アンプやCDプレーヤーのサイドウッドやポリュームつまみ、レコードプレーヤー台にも採用とチョット悪のりしたが、その後はスピーカー一途だ。



S-PM300
試聴は、パイオニアのニューモデル、2チャンネルインテグレートアンプA-A9とSACDプレーヤーPD-D6の組み合わせで行った。
スピーカー端子はバイワイヤリング対応の本格派志向だ。
 どうせなら、スタンドもすべてピュアモルト材でと思うが、ピュアモルト材は高価。スピーカーより価格が高くなってしまっては意味がない。PM300は2本のネジでガッチリと固定できる。デザイン的にも好ましいスタイルだが、大型のプラズマテレビの横に並べてバランスのいい高さでもある。インテリア的にも部屋に溶け込む。

高音質を目指した
サウンド設計を採用

 A4SPTをダブルウーハーにしただけのようだが、確実に進化している。ウーハーのフレームはアルミダイキャストになり,下のウーハーは少し前にでるように取り付けられている。これによりEXシリーズと同じユニットから出た音が同時にリスナーに届く、プレシジョンカーブとしているのだ。
 バスレフダクトにもピュアモルト材を使うといった凝りよう。バイワイヤリング対応スピーカー端子も直出しだ。トールボーイ型での上下方向の定在波解消のためのABDテクノロジーも採用されている。

1本1本模様が違う

 ウイスキーの樽材を使うのだから、作るのは簡単だと思うと大間違い。樽材は曲がっているために加工は難しい。曲面状の柾目板に圧力をかけてじっくりと伸ばして平面材にする。その板を集成してキャビネット材にするのだ。そのため、1本1本模様が違う。虎斑模様があったり、釘跡やウイスキーの染みなども。手元に届くまで分からない。これもピュアモルトスピーカーの楽しみのひとつだ。

使いやすいサイズ&デザイン

 スタイルはセミトールボーイ型である。大きすぎず、小さすぎずのサイズで棚の上などにセットできるが、何といってもデザイン的にもサウンド的にもバランスがとれるのが専用のスピーカースタンド。これはMDF材で、ピュアモルト材を音質的に効果のある部分に使っている。



S-PM300
下のユニットが少し前に出るように取り付けられたダブルウーハー。
樽材をていねいに寄せ木にし、さらに湿気や乾燥による収縮をも考慮した作りになっている。 スピーカースタンドも樽材で作ってしまった。MDFと組み合わせている。
 ダブルウーハーということもあって、レンジも広い。高域はナチュラルに伸び、低域は締まっている。ベースの音程がはっきりと聴き取れる。過剰になったり、ブーミーになることもない。スピーカースタンドとの相性もいい。セッティングでの音の変化は少ないと思われる。家庭で気軽に置いて、いいサウンドが楽しめる、使いやすく、クォリティの高いスピーカーだ。

芳醇なるサウンドが魅力的だ

 適度にエネルギッシュだ。といって前に出てくるサウンドではない。何よりいいのは定位だ。スピーカーの間に楽器が見事に定位、ヴォーカルも口が大きくならない。フワッとした雰囲気や奥行きを重視したタイプではないが、粒立ちの良さから小音量でもはっきりと楽しめ、音量を上げてもあれることがない。音に濁りや戸惑いがないのだ。ソフトとしてはアコースティックなジャズやヴォーカルに最適。だが、ロックも楽しく聴かせるし、クラシックでは変身したかのようなしなやかさを持つ。いつまでも音楽を聴いていたくなるような芳醇なる音である。

音楽の表情をリアルに伝える

 視聴はパイオニアの第3試聴室で行なった。インテグレートアンプA-A9とSACDプレーヤーPD-D6の組み合わせ。A-A9はパイオニア久々の2チャンネルインテグレートアンプだ。PM300は無垢材のために音がちょっと重くなるかなと思っていたのだが、違った。柔らかさの中にスピード感があるのだ。音楽の表情を豊かに表現し、余計な音がない。輪郭は明確で、音に太さと厚みがある。

コントロールされた低域がベース

 音的にはTAD、エクスクルーシブの系統である。ちょこまかと情報量で誤魔化すのではなく、音楽の神髄をガツンと引き出してくる。無垢材ならではの枯れた感じがいい方向に使われている。個人的にはメインスピーカーにエクスクルーシブを使っていることもあるが、好きな音だ。