久々のインテグレーテッドアンプ登場。 ポイントはサウンドの開放感とスピード感
だが、シンプル一途で機能が少ないわけではない。トーンコントロールやバランスコントロールはリモコン操作で行なう。操作するとディスプレイ部に表示される。操作を止めると数秒でディスプレイは消える。音楽を邪魔しないための配慮だ。ダイレクトモードでも消える。フロントパネルは左側が少し前に出ている。これは音と同様に中から張り出すインナーテンションをイメージしたものという。楽器のボディのイメージだが、これがないとノッペリとしてしまう。パネル面にロゴマークが少ないのも好感が持てる。
河村正行 Masayuki Kawamura
パイオニアに限らず、どこもアンプといえばAVアンプになってしまった。確かにサラウンドは楽しいが、音楽ソフトの多くはステレオ。AVアンプもステレオ再生ができるとはいえ、余分なアンプが恨めしい。2chならもっとクォリティが上がるはずなのに??。とはいえ、高級機には手が出ない。そういう人に朗報となるのがパイオニアのインテグレーテッドアンプA-A9だ。音楽ファンのために作られたアンプである。
ヨーロッパで最初にお披露目された。その写真を見た時にヨーロッパ風なデザインで、日本でもこのまま発売されるのかと思ったが意外に早く登場した。音質も日本向けのチューニングはしていないという。 なんといってもデザインに驚かされた。パイオニアのイメージではなく、ボディカラーもシルバー。写真で分かるようにツマミやボタンの数が少なく、すっきりしている。リアパネルも同じだ。AVアンプの端子ずらりを見慣れた目には新鮮に映る。「アンプはこれでいいのだ」の感じだ。弟機のA-A6やSACDプレーヤーのPD-D6も同じだ。
アナログ構成の ツインモノラル構造
中はこれもきれいだ。左右対象ツインモノラル構造。インテグレーテッドアンプはこうでなくちゃ。フロント側が電源部だが、左右にトロイダルトランスが置かれ、その間にケミコンが8つ。これはオーディオ用ケミコンから選別したものだ。左右のトランスの後ろには大きなヒートシンクを持つパワーアンプ部がある。その間に入力&コントロールアンプ部。グランドはLR対象でスピーカー端子は大きく、左右に離れている。リモコンによるコントロール部分を除いて完全なアナログ構成である。
回路は徹底して レスポンスを追求
電源回路は無帰還型電源回路と低ESR(透過直流抵抗)ケミコンによるクイックレスポンス電源。整流回路には高速でノイズの少ないショットキーバリアダイオードを採用。この電源部が音の決めてとなっているようだ。入力信号に対してレスポンスが早い独自のワイドレンジリニアサーキットを搭載。出力段はオーディオ用パワー素子LAPTを採用。パワーは70W+70W(4Ω)だ。
シャーシはシームレス構造
軽快な印象だが、ボディはガッチリしている。本体のシャーシは共振ポイントを抑えるハニカムプレスが施されており、リアパネル一体型のシームレス構造。これによりグランドノイズの除去を図っている。下部には新開発のリジットアンダーベースとメタルインシュレーターを採用して、さらにシャーシの制振性を高めている。電源コードは音質に配慮したインレットタイプ。
MP3などの圧縮音声を 高音質で再生
面白いのはリアにPC入力に対応したUSB端子を装備することだ。ダウンロードしたネットオーディオにも対応というわけだが、どうせつけるなら端子はフロントに欲しい。でも、それではデザインが壊れてしまうということなのだろう。圧縮音声を高音質再生できるサウンドレトリバー回路を内蔵。これもアナログで構成されている。もちろん、フォノ端子も持つ。MMとMCの両方が使える。
試聴はスピーカーにS-PM300、SACDプレーヤーはPD-D6を使った。スピーカーはいろいろ選べるが、この組み合わせはバランスが良かった。やはり昔にオーディオを嗜んだ団塊の世代狙いもあるのだろうが、ロック系の音楽まで開放的に、スピード感溢れるサウンドで楽しめるというコンセプトだという。オーディオはクラシックやアコースティックジャズだけの時代ではない。どんな音楽でも気軽にいい音で楽しめるものが求められているのだ。
楽しさと躍動感を 感じさせるサウンド
スピード感というよりも適度なメリハリがある。情報量は多いが、それを見せつけるのではなく、ストレートに音楽が伝わってくる。しかも、クラシックではニュアンスや雰囲気もしっかりと出す。何より低域のコントロールができているのがいい。スピーカーを確実に駆動し、厚みはあるが、締まっている。音程もハッキリしており、聴いて心地よい低域であり、全体だ。オーディオ機器というよりも、控えめに音楽を楽しませてくれるツール。存分に音楽を味わい、楽しませてくれた。