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村井 裕弥 |
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もう10年以上前になるだろうか。ウチのやつと賭けをした。「これから、あるオペラのCDをかけるから、お前はその曲名を当てる。もし正解したら、家賃の割り勘、1年間払わなくていいよ。あと、ワンピースも3着くらい付けちゃおう」
曲が始まって、1分くらいたったときだろうか。ウチのやつが、上気した顔で叫んだ。「《ランスへの旅》!」「ブーッ。残念でした。正解は《オリー伯爵》」「ええっ!? ウソ(涙)」
何で、このようなことになるのか。《ランスへの旅》は、1825年に初演されたロッシーニのオペラ。作曲者は、シャルル10世への敬意を込め、初演後(唯一の例外をのぞき)この作品を封印。その代わり、大部分を転用し、《オリィ伯爵》という、まったく別のオペラを完成させた。だから、冒頭だけ聴くと、どっちが演奏されているのだか、ようわからんのだ。
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しかし、まさかこんなオペラを、上野で見る日が来るとは思わんかったなぁ。それも、名匠アルベルト・ゼッダの指揮で。藤原歌劇団の公演はいつも金・土・日で、土曜だけ別の人たちが歌うダブルキャスト。当然金曜・日曜によりビッグネームを配するワケだが、今回はあえて土曜のチケットをゲット!
五郎部俊朗(15年前の《チェネレントラ》最高!)は前半やや不振であったが、休憩後、見事に盛り返した。砂川涼子、谷友博は、本来ヴェルディ以降を得意とする歌手だが、それなりにロッシーニ節をこなす。初めて聴く森口賢二も、強く印象に残る(やはり歌手は、声の力と存在感だ)。光岡暁恵はひとり足を引っ張りまくったが、次回以降に期待。ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルで大好評の演出は、新鮮ではあるものの、各登場人物の描き分けが今イチ不明確。
しかし、チケット代金を考えれば、充分満足できる公演であった。来年1月の《ラ・ボエーム》、5月の《リゴレット》も、大いに期待できそうだ。 ![]() |