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村井 裕弥 |
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そんなマノン(キリ・テ・カナワ)のところへ突如あらわれる騎士デ・グリュー(ドミンゴ)。そこで「あなた、あなた、いとしい方」だなんて言ったって、通用せんわな。フツー。
しかし、阿呆女マノンに理屈は通じない。「あなたはもうわたしを愛してくださらないの?」もちろん、デ・グリューは「恥知らず。不実な女」といかる。しかし、マノンは「あなたはもう私を愛してくださらないのね」の一点張り。デ・グリューは、そんなマノンに対し、「僕は負けた」と言うしかない。ここを歌うドミンゴのせつなさと来たら、もう――。
そこへたまたま入って来る財務官ジェロント。もちろん驚愕! マノンは、そんな彼に絶対してはいけないことをしてしまう。マノンを逮捕させるため、警官を呼びに行くジェロント。「階段から飛び降りろ」とせかす兄。しかし、マノンが「あの指輪を持っていかなくちゃ。この首飾りも」とやっているから逮捕されてしまう!! この愚か者ぶりが実に見事。とても演技とは思えん。イタリアオペラは3度の飯より好きだが、このシーンは見るたびイラつく!
間奏曲(これが実に聞かせる)を挟んで、第3幕。港の近くにある広場。売春婦として国外追放されるマノンたちが、牢に入れられている。そんなマノンを救おうと、兄たちが奇襲を試みるが、あえなく失敗。しかし、キリの歌と演技の力なのか、第2幕ほどは腹が立たない。「僕を見習い水夫にしてください。何でもします。お慈悲を」と懇願するドミンゴの熱唱は、見る者の心を鷲づかみにする。同乗が認められて、抱き合うふたり。しかし、兄がそれを睨みつけているのはなぜ!?
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第4幕は、アメリカはニューオリンズの荒野。マノンとデ・グリューは、どこかから脱走し、疲れ果てて、今にも力尽きようとしている。しかし、この20数分を、テノールとソプラノのふたりだけで持たせようだなんて、ホントにとんでもないオペラだ。ドミンゴ、キリともに大熱演だが、むしろ終演後カーテンコールで見せるキリの笑顔に拍手を贈りたい。
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