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村井 裕弥 |
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東芝EMI TOCE13097。税込1,300円。1989年9月・10月ロンドンで収録。タスキに「待望の初カタログ化!」とあるが、解説頁に「91年4月発売のCDより転載」とも書いてある。「決定版1300シリーズ」に組み込まれたことを「カタログ化」と称しているのだろうか。バックはチョン・ミュン=フン指揮ロンドン交響楽団。これも前述ワーナー盤同様、全曲盤からの切り貼りものではないが、ワーナー盤に比べると意図が汲み取りにくい選曲。《トゥーランドット》から2曲、《修道女アンジェリカ》から1曲。プッチーニは、これでおしまい。しかし、何で《トゥーランドット》のあと、《アンジェリカ》なの? そのあと、チレア2曲、ジョルダーノ1曲、レオンカヴァルロ1曲、ボーイト1曲と来て、とどめはヴェルディ3連発!
しかしまあ、だから駄目だというワケではない。このCD、キリならではのクリーミィかつベルベット・タッチのゴージャスな魅力が「これでもか」と収録されているのだ。先日、生を聴くまでは、「ホントに、こんな声出るのか!?」と疑っていたが、ホントに出てた。ただし、ここまで濃い口ではないが。
4曲めチレアから8曲めボーイトまでが、予想をはるかに超えて充実している(ただし、いちいちその作品のあらすじを思い出し、心をセッティングし直すのが大変だが)。
9曲め《イル・トロヴァトーレ》第1幕より「おだやかな夜」は、テンポをぐっと落として、じっくりたっぷり美声を聴かせてくれる。
それが突如、《椿姫》第3幕「さようなら、過ぎ去った日よ」に切替わるのは、背後から膝カックンされたみたいな衝撃! 恋の始まりの世界が、いきなり恋の終わりに行っちゃうしね。
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ラストを締めくくる《運命の力》第4幕より「神よ、平和を与えたまえ」は、「いかにもいかにもの序奏」が付くから、頭を切替えるのに、都合がよい。おおっ。そういえば、1曲め「お聞きください、王子様」のラストが「Ah,pieta!(ああ、あわれみを!)」で終わるから、ラストも神の憐れみを乞う歌で締めくくろうという意図なのだろうか。
70年代末からキリ・テ・カナワを激賞していた評論家、故河合秀朋氏の解説付なのもありがたい。「これを機会に、チレア、ジョルダーノの世界へ首を突っ込んでみようじゃないか」という人には、大いにお薦めだ。
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