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村井 裕弥 |
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三ノ宮駅から徒歩15分、「二宮温泉」女湯での話だ。語り手は、ウチのやつ。
「もうっ。だいたい入るなり、東京の銭湯とはまるで雰囲気が違うのよ。わたしなんか完全によそ者だから、どこに座ったらいいのか考えちゃった。あの『ざわざわ感』苦手な人いるでしょうね。で、なんとか座ったんだけど、まわりの人たちがすごーく大きな声でしゃべくりまくってるの。でも、聞いちゃ悪いと思うものだから、わざと聞かないようにして、体洗って、天然温泉に入って。そうすると、体洗いながら歯みがいてる人が、まだいたのよね。そりゃ、東京だって昔はいたけど、今そんな人いないじゃない。さすがに、湯船のお湯で口すすいだりはしないわよ。でも、『ガラガラ、ぺっ!』てそこいらに吐いたりするの。それが不愉快とかじゃなくて、もうなんか、やたらおかしくて、コメディ番組見てるみたいなのよ。 | ![]() |
でも、それだけだったら、それほどコーフンしなかったと思う。ホントに面白かったのは、お風呂から上がったあとなの。わたしが体を拭いてたら、60歳を少し超えたくらいのオバチャンたちが、ベンチでくつろいでいてね。この人たちの会話がまた、超おかしいのよ。ボケと突っ込みを交互に引き受けて、まるで台本があるみたい。そこへまた、新しいお客さんが入ってくるでしょう。オバチャンたち、地元ではよほどの顔らしくて、誰が入ってきても、あいさつするのよね。『○○ちゃん。きょうは、えろう遅いやん。わてら、もう上がったでぇ。あしたは早う来ぃや』『あら。まあ。□□ちゃん。大きゅうなって』
でも、そこからさらに発展しちゃったりもするの。『そういや、△△さんは、ようここへ来とるなぁ』『あ。そや。気ぃつかんかった。あのおばはん、毎晩ここの温泉に入っとるわ』『何でやろ?』『何でて、決まっとるわ。ええ男でもでけたんやろ。男喜ばそと思て、肌に磨きかけとるんや』『ほやけど、あの年で磨いても、効果ないんとちゃうか?』『ほやなぁ(笑)』
わたし、もうおかしくって、笑いをこらえるのが精一杯!」 |