村井 裕弥

前回貼り付けた「ごちそう酒房 味兵衛」のレシートに、20:55という時刻が記録されている。しかし、その数分前、店長と交わした、緊迫のやり取りについて書くのを忘れた。
「こ、このお店、超うまいんだけど、ボクたち、21:11発の寝台特急に乗らなきゃいけないの。悪いんだけど、しばらく前に頼んだ肉野菜炒めとゴーヤチャンプルー、お持ち帰りにしてくれます?」
 あの夜「味兵衛」は超満席で、厨房が処理できる能力をはるかに超えたオーダーが殺到。「いくら何でも、そろそろ出て来るだろう」という2品が、なかなか出てこなかったから、けっこう焦りまくっていたのだ。
 しかし、店長はこんな無理も当たり前のように聞いてくれ、ボクたちは、透明パック(スーパーで揚げ物を入れる、あれ)に詰められた、できたて熱々肉野菜炒めとゴーヤチャンプルーを片手に、JR三ノ宮駅4番線プラットフォームまで走った。
 「お汁もぎょうさん入ってますさかいに、あんま揺らさんように」
 わかってるって。「あと16分」とも言えるが、ここまで来れば、16分もあるぜ!! へへへのへ〜だ。
数年前、フルムーン夫婦グリーンパスを使おうと計画したときは、彗星という京都発宮崎行の寝台特急がまだあった。しかし、この彗星、2005年10月1日廃止され、関西発九州行は、今やなは(熊本行)&あかつき(長崎行)の連結のみ。ボクたちは、このなはに乗ろうとしているのだ。
「おいおい。B寝台に、肉野菜炒めとゴーヤチャンプルーを持ち込むなよ。匂いで、回りの客が迷惑するだろ」
 それが大丈夫(笑)なんだな。寝台特急なはは、B寝台デュエット(2人用個室)を連結している。この個室に入ってしまえば、いくら呑もうと、何を食べようと、人様に迷惑をかける心配は、一切なし。ここいら辺が、2日前に乗った日本海4号と大違いなのだ!
(つづく)