村井 裕弥

しかし、この1週間にわたる旅全体を改めて思い返しても、別府「海鮮グルメ屋」、八幡浜「浜味館あたご」の印象は際立っている。おかげで、そのあとの記憶が、やけに軽くなってしまった…。
JR八幡浜駅からは、宇和海11号に乗って、宇和島へ移動。商店街の中で右折し、宇和島城天守閣にのぼる。うん。小ぶりではあるが、趣味のよい城だ。さすがは405年の重み。あとは、港に出て、夕陽に染まるフェリー(戸島・日振島行)を眺めてから、宿へ。ここは、料理のすばらしさで広く知られる老舗だが、その割に印象がうすいのは、やはり「海鮮グルメ屋」「浜味館あたご」のあとに行ったからだろう。
翌朝最終日は、少々早く目ざめたものだから、宇和海8号を6号に乗車変更し、松山へと移動。松山からは、しおかぜ14号。「しかし、この車窓風景(砂浜と沖の小島)、どこかで見たことがあるなぁ」と思ったら、『がんばっていきまっしょい』(2005年7〜9月・関西テレビ)のロケ地だった。松山一高ボート部の小屋は、さすがに見えんかったが。
そのまましおかぜ14号に乗り続け、岡山で新幹線に乗換えることもできたが、ウチのやつが「尾道に寄りたい」というものだから、今治で降り、しまなみ街道をバスで北上。途中、因島大橋のドライヴインで昼食をとることに。「何で、こんなところで食べにゃならんのか」と頭をかかえたものの、出てきた尾道ラーメン&あっさり伯方の塩ラーメンは、意外とまとも(多少塩が多過ぎではあったが)。たこ串天ぷらに至っては、追加注文までしてしまった。
尾道に着いたあとは、お寺や志賀直哉旧宅、文学記念室、映画資料館をまわり、『東京物語』に出てくる石燈籠まで発見! 地元の人たちが足しげく通うラーメン屋「めん処みやち」で、ほんまもんの尾道ラーメンを満喫し、元は林芙美子の家だったという喫茶店の前を通って、JR尾道駅に帰り着いた。
新尾道駅まではタクシー。あとは、こだま660号とひかり386号の乗り継ぎで帰京。「そんなアホな長旅、ようして来たねぇ」とあきれる方も多いが、1度に体験しないと見えてこないものだってあるのだ。
次は、いつ行けるか、まったく見当がつかぬが、できればまたフルムーン夫婦グリーンパスを使って、日本中をまわりたい。そのときは、あなたのお宅にもお邪魔するから、よろしくね!(完)