村井 裕弥

どよーんとした空気を破ってくれたのは、サウンドデン藤本社長のひとこと。
「ノイズカット電源IPT−1000Anの左側にマランツSA−14とアッテネーターが、右側にD/Aコンバーターが置いてあるでしょ。だから、CDのデジタル出力が、まずはトランスの上を通って右へ行き、D/A変換されたアナログ出力が、再びトランスの上を通って左へ戻る。少ないとはいえ、漏洩磁束の影響は無視できないんじゃないか」
 「どうすればいいんでしょう?」
 「思い切って、D/Aコンバーターを左側のラックに移しましょう。中段に収まっているアッテネーターを上段(SA−14のとなり)に置けば、ケーブルもより短いのが使えるし」
 かくして、Vol.1に貼り付けた写真のごとく、参加者全員による、機器のつなぎ替えが始まった。しかし、30秒くらい経過したとき、野口さんの口から、信じられない言葉が――。
 「た、たいへんです。皆さん。SOULNOTEのD/Aコンバーター、つながってません」
 「えええええっ!?」
 「昨夜、SACDを聴くために、D/Aコンバーターをとばして、SA−14とアッテネーターを直結したんです。それを元に戻すの忘れてた…」
このとき、参加者のひとりから「困りますよ」という声があがった。「やだなぁ。きょうはSOULNOTEの有り無しは聴き比べないっていう話だったから来たのに」これはおそらく、「聴いたら、買うことになっちゃうじゃないですか」という意味だろう。
で、SOULNOTEのD/Aコンバーターをつないだ音だが、さっき感じた良いところはそのまま、鳴りっぷりが数段豪快になった。遠慮がちに弾いていた奏者が、いきなりエンジン全開はじけまくり。「おらおら。どうだどうだ」と聴き手に迫ってくるようになったのだ。
 「ねっちり感もいいね。いかにもJAZZ。日本人が弾いてるのに、ファンキー」
 「低域がぐっと引き締まった。それでいて、量は減ってない。むしろ増えてる」
 「陰翳の濃さがたまらん」という声も出た。 (つづく)