村井 裕弥

野口さんのお宅から、上部さんのお宅までは、車で15分ほど。とある駅の真ん前にそびえ立つ高層マンションが、上部家のお城だ。
夕方までしっかりお仕事をされ。ご帰宅された直後だというのに、疲れを顔に出さず、わたくしたち7名を迎えてくださった上部さん。いやぁ。ホントにありがとうございます。ありそうでなかなか無いのが、美しい奥様もいっしょに迎えてくださったところ。(オーディオマニアの妻の大半は、夫の趣味と仲間を毛嫌いし、顔も出してくれないお宅が圧倒的。たまに顔を出してくれても、「あんたたちが、ウチの亭主を変な道に誘い込んだんだね」とにらまれることが多いのだという)
そんな上部さんが鳴らすのは、JBLのLE8T。言わずと知れた20センチ・フルレンジの名器である。しかし、有名ではあっても、この名器をきちんと鳴らしている方は、意外と少ない。「トゥイーターを付加するか、超高級なセパレートアンプでガンガン鳴らしてやらないとどうしようもない」と言い切った仲間も、かつていた。
しかし。上部さんはこのLE8Tを、トゥイーターなしで、しかも一体型アンプで鳴らしている。しかも、主に聴くのはクラシック! お部屋に入ったときは、グレン・グールドがかかっていた。ひょ、ひょっとすると、この方、かなりの小音量派!? ますますありえん!
ありえんついでにいえば、コタツに足を突っ込んで、音楽を聴くというマニアも初めて。ううん。これでいったいどんな音が聴けるのか。 (つづく)