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TOPカルメール通販商品リポート>Reference 3.1
 オーディオスペースは香港に本拠地があり、設立は1986年。真空管アンプに本格的に取り組んだのは1990年からだという。旧来の「中国製」に対する評価を一変させる高級な設計と吟味した部品、洗練された製造技術で評価を高め、いまや真空管アンプの高級ブランドとして盛名を世界に広めている。
 その「リファレンス」シリーズは、パワーアンプ、プリアンプ、インテグレーテッドアンプの分野においてそれぞれ最高級機として位置づけているもの。今回報告するインテグレーテッドタイプの「3.1」は300Bpp(プッシュプル)とKT88ppの2タイプが用意されていて、それらは出力管以外はほぼ同一の構成、仕様になっている。
 試聴した300Bppは、厚いアルミニウムパネルに装着された音量計と終段のアイドリング電流を兼用したメータがアイキャッチになっている。古典的な直熱出力管だから、その電流バランスを確認できることは球の交換時期の判断や差し替えの際に便利だ。
 仕様としてはフォノイコライザーアンプ(EQ)を搭載し、しかも真空管による本格的なNFB型で構成しているのが目を引く。EQは省略するかICで間に合わせる例が多いのだ。ライン入力の他にテープモニター機能が備わっているのは便利だ。
 球の構成からいえば、ドライバー段に中増幅率のGT管6SN7を使用し、前段やイコライザーアンプにはミニチュア管の高増幅率管12AX7を採用しているのが目を引く。前段から終段に進むにつれて古典的な姿になるわけだ。
 といっても、これは外観で選んだわけではなく技術的な理由がある。出力管が三極管であり電圧増幅率が低いので、大きな電圧振幅をひねりだすドライバー段が必要なことは当然だろう。その点6SN7は電極サイズが大きいこともあって、安定した電流を流しながら瞬時の大振幅を得るのに適しているわけだ。
 初段は12AX7により最初から差動増幅になっていて、差動型のドライバー段にプッシュプル信号のまま送り出しているのが特徴。NFB(負帰還)は出力トランスの4Ω端子から初段に戻していて、ここでゲイン切り替えをしている。出力管は古典球だが回路は現代的といえる。
 電源にしても現代型だ。たとえば出力管のフィラメントは直流点灯でありしかも定電圧化してハムノイズを追放している。プッシュプルなので交流点灯でもハムノイズは打ち消せるのだが、S/Nを重視しているわけだ。それと、出力段と初段のバイアス電圧は巻き線から独自に作る固定バイアスになっている。これは出力段にとっては大きな出力電圧を確保できることになり、初段はシーソーのような動作をする差動増幅の基準点が安定することを意味する。
 それと、出力段の高圧電源はチョークコイル経由によりきれいな電源にしているのは当然として、EQ段の電源を安定化電源にしているのも目を引く。ここも本格志向なのだ。また電源トランスはシールド仕様であり、源流段階からS/Nに配慮しているのもさすがだ。
 その他、がっちりしたシャーシや、本格的なスパイクを使った支持脚など機械振動にもよく配慮している。こうして、お手軽な「300Bアンプ」とは格の違う内容だということが分かるだろう。
 試聴は、Classicの真空管搭載CDプレーヤーと組み合わせて行った。スピーカーは当初JBLの4343で使用。
 硬めの大型ウーファーなので大量再生すると低域の大振幅が伸びきらないのだが、この充実感のある鳴り方は半導体アンプにはない魅力だ。NFBのゲイン切り替えは減らす(音量が大きくなる)方に選択すると直熱出力管らしい繊細さや和声の豊かさが際立ってくる。それと高域のからりと明るい開放的なトーンはJBLらしさを発揮し、しかも力みなく自然体で描写できるのが素晴らしい。クラシックもジャズも滑らかさと快活さがあって音離れがいいのだ。
 この分解能の高さや細部の表情のこまやかさは古典的な三極管アンプの水準をはるかに超えている。そもそも微小情報のS/Nが段違いであり、すこぶる純度の高い無音の領域をしっかり確保しているのだ。
 それは充実した回路構成にも由来するのだけれど、真空管や各種パーツのグレードも高いのだろう。筆者にしても古典的な300Bアンプを製作したことはあり、部品の質が再生音によく反映することは承知しているけれど、従来聴いてきた300Bppアンプはもっとおおらかだったり、逆にそれを嫌うあまり神経質な傾向というものが多かったのだ。つまり古典出力管を使いこなすのは難しいということ。真空管や出力トランスなどキーデバイスの素性と回路設計の基本方針、そうした条件の上でニュートラルな音に仕上げる知恵があってこそ、全方位的に充実した再現能力を確保できるわけだ。
 凝り性の人は、さらにウェスターンエレクトリック製300Bに差し替えて違いを楽しむこともできるだろう。現代的な回路といっても、全段がコンデンサー結合なので球の差し替え許容範囲はゆとりがあるだろう。ただし、その方面の技術知識に自信がない人は販売店やメーカーと相談してほしい。
 フルレンジスピーカーを試してみると、低域の制動力が適合するのでいっそう音楽が躍動してきた。精妙な質感とのびやかさ、現代的な分解能、低域の押し出しの良さなど、高次元でバランスの取れた音である。しかも微小情報ほど艶やかさや密度感があり、この気品のあるタッチは半導体アンプでは得がたい境地と思う。
 それにしても感心するのは、こういう水準の製品がこなれた価格で入手できるようになったことであり、また中国製真空管の品位が向上したことだ。かつて中国製アンプが出始めたころは、すぐさまオリジナル球や日本製の球に交換したくなったものだが、これは高級システムの一員としてそのまま使える世界水準なのである。この実勢価格でこのグレードというのは怖いほどだ。

編集部より

オーディオスペース・Reference 3.1(300B)
標準価格 ¥346,500(本体価格330,000)
 このところ人気が急上昇している真空管アンプ。その人気の秘密は、もちろんデザインや音にベースをおいているが、この商品を33万円という価格で提供した点も大きい。某オーディオ雑誌で久保田さんが80万円のマランツのアンプよりも音がよいという表現をしたのを筆頭に「え? 何でこんな価格なの?」という賛嘆の声が大きくあがった。33万円で80万円以上の音か! という評判は一気に業界を走り回った。

 もともとオーディオスペースのアンプは価格設定が誠に良心的で安くなっているのだが、それに加えて販売メーカーであるカインラボラトリーが日本のファンのためにさらに良心的な価格付けをした点にもある。たとえばこの商品を香港で買えば4,000ドルするのだが、日本国内では3,000ドルになっている。最近では人気が沸騰したため、香港からわざわざ日本にこれを買いにくるお客さんもいるそうだ。このコーナーのリポーターである吉田伊織さんは「この実勢価格でこのグレードというのは怖いほどだ。」 という表現にとどまっているが、価格的な魅力はここまで高まっているといえる。洗練されたデザインと、ほのかにともる300Bの灯りに酔いしれる音楽は格別なものがある。吉田さんはこのコーナーで「微小情報ほど艶やかさや密度感があり、この気品のあるタッチは半導体アンプでは得がたい境地と思う。」 とも表現している。
 エンゼルポケットでは「特選コーナー」の開設を記念してReference 3.1(300B)を311,850円という記念価格で発売するという。これも嬉しい決断である。