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TOPDigitalVillageサロン>No.27
メ)チャールトン・ヘストンが亡くなった。ここのところ毎回本題に行く前に映画人の訃報をお伝えしてきたけれど今回もどうしてもやらざるをえない。
芦)これからは必ず”惜別のコーナー”を入れてから進む構成にしましょう。
メ)そうだね。だってリチャード・ウィドマークも死んじゃったし。俺にとってはヘストンはどうでもよくって。ウィドマークの話をしたらもう際限なし。
芦)先輩は好きでしたものね。でも一般の日本の映画ファンにとってはやはりヘストンでしょう。
メ)悔しいけれどその通りだねえ。どう見たって芝居がうまいとは言えないけれど。歴史ものと西部劇なら何とかなるけれど。それだってジョン・ウエインの方が圧倒的にうまいよ。悩んでるヘストンを見てごらんよ一本調子で、とてもまともに見ていられない。こっちの方が頭を抱えたいくらいさ。

ベン・ハー
芦)
「ベンハー」('59)でアカデミーをとりましたよ。
メ)あんなのは賞につきものの裏があるに決まっているじゃない。名監督のワイラーが上手に使ったからさ。
芦)手厳しいですね。
メ)まあシネラマや70ミリの大画面時代にうまくはまったスターだよね。
芦)シネラマなんて若い人には分からないでしょうが。
メ)シルベスタ・スタローンとかアーノルド・シュワルツェネッガーとかどうも肉体でものを考える人は苦手なんだなあ。もともとインテリだからボクちゃん。
芦)キモイこと言わない! 確かに出演数の割りにいい作品は少ないですね。スタローンは「ロッキー」('76)と「ランボー」('82)の2本だけでしょう?
メ)シュワちゃんが「ターミネーター」('84)。やっぱり図体のでかい役者さんはどうしても大根に見えちゃうんだなあ。
芦)ロック・ハドソンとかもそうですかね。歴史劇はありませんが。
メ)それは可哀想だろ。勿論この前取り上げた「ガンファイター」('61)などの西部劇とかアクションもので活躍したけれど彼はジーナ・ロロブリジダと共演した「九月になれば」('61)大好きなドリス・デイと共演の「花は贈らないで!」、('64)ポーラ・プレンティスと出た「男性の好きなスポーツ」('64)とかコメディーではちょっとおスケベなハンサム男を演じていい味をだしていたよ。

ジャイアンツ
芦)
でも基本的には大根だと思うなあ。だって「ジャイアンツ」('56)でジェームス・ディーンのことを言う人がいても、まずハドソンの名前は出てこないですよ。
メ)また脱線しちゃうけど「花を・・」の主題歌をドリス・デイが歌うの。♪スイースイー ドニップ デイジー♪って。ガキの頃だし耳から聴いて憶えただけなんだけれど、あれは♪スイートスイート ドント イート デイジー♪って言う事だったのか知らん。そうするとデイジーを食べないでになっちゃう。曲のタイトルが「ひな菊を食べないで」だった気もするなあ。デイジーってひな菊かしら。
芦)そんなマニアックなことはどうでもいいですよ。それでヘストンは?
メ)絶対実生活でもナイーブ人ではなかったと思うよ。人間の喜び悲しみをとても分かって芝居しているとは思えない。だから「華麗なる激情」('63)のミケランジェロみたいな役をやると大根ぶりがもろにでちゃう。
芦)歴史劇ってそんなにシビアな演技を要求されませんから得していますね。
メ)そう、槍をもって馬に乗りちゃんばらやってれば、もうオッケーみたいなもんじゃない。まさに死んじゃっていながら馬に跨ってた「エルシド」('61)そのままさ。そういう人だからこそ悪の権化のような全米ライフル協会のボスをやっていられるんだよ。
芦)仰る通りですが、まあそんなに死者に鞭打つようなことをいわないで映画の話にしませんか? 一応彼の出演作で評価するのが一本くらいはあるでしょう?
メ)実は君から彼が死んだ連絡をもらったまさにそのときにDVDで見ていたのがオーソン・ウェルズの監督で彼が主演をした「黒い罠」('58)という作品。不思議だなあ。随分前に手に入れながらほおって置いたのをその日に見る気になったって。ポーズにして君の電話に出てびっくりしたよ。虫の知らせだなあ。
芦)悪口ばかりいうからでしょう。化けて出ますよ。
メ)アメリカとメキシコの国境の町で起きた麻薬取引をめぐるギャングと警察の戦い。正義に燃えるメキシコの熱血検事のヘストンと悪に手を染めた飲んだくれアメリカの刑事のウエルズ。当時公開されたときには会社からめちゃくちゃにはさみを入れられたとかで、それを修復した版という説明がタイトルの後に字幕であったけど、さすがウエルズ! えらくよくできた作品だった。なんで知らなかったのかなあ。
芦)なに言ってるんですか。大傑作ですよ。冒頭のシーンは5分以上の長回しでカメラワークからいっても素晴らしいですよ。

黒い絨毯
メ)
ヘストンは熱血漢のいい役をもらっているから彼にとっては儲けものだよ。芝居は一本調子で褒めてもまあ普通に好演というところだなあ。二人以外にジャネット・リー、ディートリッヒ、ザ・ザ・ガボールという美女3人が顔を揃えているから見て損はないよ。ついでにいえば俺の一本って言ったけど、真っ先に頭に浮かんだのはエリノア・パーカー(昔は確かエリナと表記していた)と共演した「黒い絨緞」('54)という作品。
芦)また”黒”ですか? 変な作品ばかり選んでません?
メ)どこかアフリカかアマゾンの密林でアリの大群が攻めてくる、今で言えば動物パニックもののようでね。テクニカラーで緑のジャングルの中をアリがうじゃうじゃ攻めてくるのが怖かったのとヒロインの顔と肌の色が美しかったのが少年時代の私メの頭の中にしっかりときざまれていてさあ。
芦)やっぱりませたガキだったんですねえ。
メ)ところで君の一本はなんなのさ?
芦)やっぱり「ベン・ハー」でしょうね。
メ)通俗的だなあ。
芦)作品を挙げろと言われたらやっぱりこれっきゃないでしょう? 彼の芝居はどうでも。あとは「猿の惑星」('68)ですね。最初の。これも作品の勝利ですけれど。
メ)そうだね訃報を知らせるワイドショーも各局その2本を紹介していた。
芦)それと「十戒」('56)。あれこそ大根の極みだと思いますけれど。
メ)海が割れるシーンね。エルマー・バーンスタインの音楽は私のサントラベストテンに入っているけれど。作品はねえ。
芦)そんなに死者に鞭打つようなことはやめてもう本題にいきません?
メ)ウィドマークはどうするのさ? 3月の末になくなった監督のジュールス・ダッシンに触れないわけにもいかないだろう? ヘストンなんかどうでもいいのに。
芦)ミンゲラ監督も亡くなりましたしね。わたし大嫌いなんですが、まあ次回にしませんか?

メ)それじゃあアメリカ映画のクレジットタイトルの話にしよう。
芦)いよいよC級もののアライドアーチスツですか。
メ)確か大文字のAが縦に並んだロゴでね。「殴りこみ海兵隊」とか「壮絶! 鬼戦車隊」みたいな、もう題名からしてB級というよりC級の戦争映画ばかりで、フォレスト・タッカーやスティーブ・コクランとかフランク・ラブジョイ、ジャック・マホニー、スキップ・ホーメイヤーといった役者が常連だった記憶がある。もう3本立て御用達作品みたいなもんです。
芦)私はその俳優さんたちの名もまったく聞いたこともありませんが。
メ)そうだろうねえ。で、お話はいたって簡単でさ。たいてい意地悪な軍曹とか下士官いてね、めちゃちゃくちゃな命令を出すもんで誰か人のいいひ弱な兵隊が死んじゃうの。
芦)わかりますわかります。戦争映画にはつきもののエピソードですね。家族や恋人の写真を大事に持っていて必ず戦友にみせるシーンがあるんですね。
メ)それで死んじゃって認識票とともに取り出して主人公がポケットにしまうんだ。
芦)だから家族の写真を見せる兵隊が出てくるとさあ、絶対こいつ死んじゃうなと。
メ)そうそう。それで主人公が怒りまくろのさ。奥さんに手紙を書くのは俺だなんてね。

攻撃
芦)
ロバート・アルドリッチの戦争映画の大傑作「攻撃」('56)とそっくりですね。
メ)「コンバット」のヘンリー少尉やサンダース軍曹みたいないい上官は絶対出ないの。部下をいびりまくりながらいざとなるとスタコラ逃げ出す臆病なひきょう者の上官が登場するんだ。こういう役をやらせたらピカ一なのがエディー・アルバート。彼が出てくるとすぐ分かるの。こいつ絶対に悪い奴だって。「攻撃」も確かそうだった。クレジットはエディーではなくエドワードとなっていた気がする。
芦)めちゃくちゃな命令を出されて戦車に腕を引かれちゃうのがジャック・パランス。腕をブラブラさせながら上官のもとへ戻るんでしたね。
メ)あのときの彼は怖かった。「シェーン」の時より断然怖かった。鬼気迫る芝居。
芦)彼にしかできない名演技。アカデミー賞をあげてもいいくらい。戦争映画の大傑作でしたね。監督はどんなジャンルのものでも上手に料理しちゃうロバート・アルドリッチ。前回の「ガンファイター」でも登場しましたが。
メ)だからアライドアーチスツものとは似て非なるもん。クオリティーは月とすっぽん。でも好きだったんだなあ。ラストカットは死んじゃった兵士の行進する横顔が順番に出てきたりするんだ。勇ましいマーチとともに。
芦)全然知りません。京都では絶対公開されていないと思います。映画文化が低かったんだなあ。
メ)全盛期はもう半世紀も前のことだから、君の記憶にないのはしかたないよ。クレジットタイトルが終わると必ずなんか偉そうなマークが出てその上にどこかの協力をいただいてみたいなスーパーがでるんだよ。子供心にも胡散臭いと思っていたんだけれど。今思えばきっと国防省のマークなんだろうな。
芦)半世紀前といえば当時は米ソ冷戦時代の真っ最中ですからペンタゴンも気合が入っていたんでしょう。そういうの嫌ですねえ。
メ)日本でも最近は戦争ものが結構あるけれど、やっぱり防衛総省とか自衛隊が協力しているのかなあ?
芦)「亡国のイージス」は確かそうでした。イージス艦を撮影のために作っていたら大変でしょう。「タイタニック」みたいなわけにはいかないですもん。
メ)それはそうだ。あれもそうだろうな。「戦国自衛隊」。新しいのも古いのも。
芦)題名からしてそうですもん。戦車があれだけ登場しますからね。
メ)ところでメジャーの映画会社のマークがついていてもアメリカではメジャーが制作から配給までやる場合と制作プロと共同制作とかメジャーは配給だけといろいろあるみたいだねえ。
芦)たいとるのマークの後に○○プロとクレジットが出ますね。日本の東宝東和とかヘラルドは配給専門ですね。
メ)最近はブエナビスタなんかが多いみたいですね。そういう傾向。
芦)ディズニーの会社ですね。
メ)俺がよく覚えていた製作プロダクションが確かバート・ランカスターのヘクトアンドランカスタープロ。ジョン・ウエインのパトジャック・プロ。クリント・イーストウッドのマルパソ・プロ、ミリッシュカンパニーは誰だったかなあ。スタンリー・クレーマーかなあ。
芦)日本人に一番馴染み深いのはなんたってスピルバーグやコッポラのアンブリンでしょうね。自転車に乗った少年がお月様に飛んでいくいわずと知れたETのワンシーンから頂戴した奴。それにしてもどうでもいいことを良く知っていますね。ボケ老人の典型的な症状ですね。昔のことだけは覚えているという。
 
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