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TOPDigitalVillageサロン>No.29
メ)それでは今回も例によって”惜別コーナー”から。
芦)3月24日に亡くなったリチャード・ウィドマークですね。
メ)私の最も好きな役者の一人。気に入りの作品は両手両足の全部の指を折っても足りない。
芦)私も同感です。アカデミー賞とかを受賞していないと思うけどアカデミーの会員は一体なにを見ているのかと文句のひとつでもつけたいくらいです。
メ)そうだね。というよりつまらん賞をあげるあげないを超越したところにいるという感じ。もう初期の「死の接吻」('47)とか「情無用の街」('48)とかチンピラ,ギャングから勿論カウボーイ、将校までどんな役をやらせても様になるんだよなあ。
芦)少しひねたクールな役をまかせたら天下一品でしたね。

ノックは無用
メ)
モンローと共演した「ノックは無用」、はじめの方のカットがしばらく全体に紫がかっていた不思議な傑作「地獄と高潮」などサスペンスもの、スタンリー・クレーマーの力作ニュールンベルグ裁判」、「駆逐艦ベッドフォ−ド作戦」、「合衆国最後の日」といった軍服もの。
芦)数え上げたらきりがありませんね。
メ)DVDやビデオが未発売の作品もあって死ぬまでに再び見ることは無いと思うけれど機会があったらもう一度見たいなあ。
芦)大丈夫あなたは確実に百歳まで生きていますから、たっぷりと見られますよ。
メ)失礼だなあ。西部劇だけでも大昔の「廃墟の群盗」や「折れた槍」「ワーロック」「馬上の二人」「シャイアン」・・・数え切れないね。片方の肩をちょっと落として歩くところがカッコよくって。ジョン・スタージェスの「六番目の男」('55)や「ゴーストタウンの決闘」('58)、デルマー・デイビスの「襲われた幌馬車」('56)とかブルーのジージャンがよ〜く似合うんだよ。俺が若い頃ずっとジージャンとジーンズで過ごしたのはそのせいかも知れない。
芦)金がなかったからじゃないの。今だって着ているじゃない。スタージェスとデイビスも彼を気に入っていたんでしょうね。3本とも西部劇を代表する群を抜いた面白さですもの。
メ)そうだね。「六番目」は行方不明の親父を探すちょっと後味の悪かったところがあるけど「ゴーストタウン」は文句なし。主役のロバート・テイラーがかすんで見えた。
芦)彼はなぜか二番手にいて主役を食っちゃうところありますね。
メ)「悪の花園」('54)のゲーリー・クーパーとかをね。
芦)キャラクターが強烈ですからね。ヒロインがこれまたキャラの強いスーザン・ヘイワードですからウィドマークと結ばれたらクーパーの出番がなくなっちゃいますからね。
メ)あの映画は西部劇というより宝探し冒険映画という記憶だなあ。確か3人で金を探しにいって最後にインディアンかなんかに襲われて誰かが一人残って敵を防がなけりゃあならないんでそれまで嫌味な奴だったウィドマークが残って男になるんだ。
芦)それって「誰がために鐘は鳴る」と同じシチュエーションですね。
メ)そう。あの時はクーパーが残ったんだっけ。
芦)「悪の花園」では一番最後に有名なせりふがありましたね。
メ)和田誠著の大好きな本「お楽しみはこれからだ」の受け売りだけど確か「地球が全部金で出来ていたら人間はたった一握りの土のために命を落とすだろう」とか言うのね。なかなかいいよ。
芦)西部劇といったら私はなんと言っても「ガンファイターの最後」('69)をあげます。
メ)俺はそれ見ていないの。
芦)信じられナ〜イ。それでようご贔屓いいまんなあ。この作品を知らないなんて。ドン・シーゲル作でプロデューサーと大喧嘩しちゃって監督名がアラン・スミシーになっているの。よくこのケースはあってそういう時はみんなこの名で発表するんです。
メ)恐れ入谷の金之助です。本当にそんなこと知らなかった。
芦)エチケットで筋は言いませんが、よくあんな役を彼が引き受けたなと思いました。保安官の彼が自ら守るはずの市民たちに裏切られて、そのあと・・・・・・・・・・・・。
メ)「真昼の決闘」っぽいね。
芦)もっとしっかりできています。傑作西部劇です。

アラモ
メ)
出来の云々は別としてジョン・ウエインが監督までやっちゃった「アラモ」('60)は男優の魅力を知るにはうってつけの作品だった。
芦)ウエインのデイビー・クロケットにウィドマークのジム・ボウイ。
メ)砦の司令官トラビス大佐がメチャクチャ男前のローレンス・ハーベイ。
芦)みんなそれぞれのもち味を出してかっこよかったですね。
メ)全員死んじゃうんだけれど。ウエインは火薬庫に火を投げ込んで死んじゃうのね。トラビスは銃弾に当たってサーベルを投げ捨てて倒れるんだ。それなのにウィドマークはベットの上でメキシコ軍の兵隊に銃剣を刺されるの。死に方は一番かっこ悪い!
芦)同感です。ハーベイはあまりわが国では作品が公開されていませんがあれはかっこよかったですね。シナトラと出たジョン・フランケンハイマーのサスペンスもの「失われた時を求めて」('63)くらいしか他に覚えていません。
メ)それとサマセット・モームがみたら絶対に怒っちゃうような「人間の絆」('64)ね。でも超大好きなキム・ノバックのセミヌードが拝めたので大事にしている一本なんだ。
芦)いつも女性のことで頭が一杯みたいですねえ、ほんとに。
メ)言ってくれるねえ。じゃあ違うこと。ウィドマークの西部劇以外の記憶では「秘密諜報機関」('61)というスパイ物かなあ。一度しか見たことないし最後に飛行機で脱出することくらいしか記憶がないんだけれどすご〜く面白かった。ところがその後♪さらばベルリンの灯よ♪というサントラが超はやった映画があってそれとごっちゃになっちゃってさあ。誰かそこんとこ教えてくれないか知らん。
芦)確か映画のタイトルは”よ”が無い「さらばベルリンの灯」('66)ではなかったですか?
メ)そう。ついでに言えば邦題をつける日本の配給会社の宣伝マンにいちゃもんをつ けたいんだ。スティーブン・ソダバークがあえてモノクロで撮ったべら棒に出来がいい作品が最近あってジョージ・クルーニーとケイト・ブランシェットが好演していて往年の傑作サスペンスの趣がぷんぷんでさあ。これが「さらば、ベルリン」('06)。ちょっと安易だよなあ。何億円もかけた商品のネーミングとしては。
芦)原題が「THE GOOD GERMAN」ですね。確かにベルリンというよりポツダムが舞台で例のポツダム会談前夜の米ソ二極の緊迫した情勢を背景にした作品といったほうがいいですからね。
メ)なぜ”さらば”なんだか分からないけど、宣伝マンの頭の中に「さらばベルリンの灯」のことがあったのは間違いないだろうね。サスペンスフルな匂いがでると考えたんだろうけれど。
芦)そうですね。邦題の特集もやりたいですねえ。よく分からないものが結構ありま すからねえ。ところでそのほかのジャンルの作品はどうですか?
メ)ワンシーンだけ覚えている作品があって「太陽に向かって走れ」(’56)というんだけれど、なんか密林の中の小屋みたいなところにヒロインと逃げ込んで外にはうじゃうじゃ悪いやつがいてね、ドアの穴に鉄砲の弾を詰めて石かなんかでたたいて撃ち危機を脱するのね。そこしか覚えていないけれどあれはサスペンスだったんだろうなあ。超面白かった記憶があるの。
芦)すごい記憶力ですねえ。
メ)コメディーはあんまり得意じゃなかったね。あのキャラだから。俺の中で評価の低いのが「愛のトンネル」('58)。大好きなドリス・デイと共演していながらウ〜ンという感じ。彼女が ♪〜タンネル オブ ラブ〜♪と歌う曲は大好きだったけれど。
芦)そうですね。あれ以外にコメディー作品の印象はほとんどありません。やはりあの世界はジャック・レモンやトニー・カーチスといったあなたのように見るからにいやらしそうなにやけた役者じゃないとね。
メ)そう私と共通項の多いロック・ハドソンやケーリー・グラントのようなハンサムおじさん俳優ね。
芦)やっぱり能天気だなあ。その他のジャンルはどうですか?

コーマ
メ)
ジャンルというより最後の10年間くらいの作品は好きじゃない。顔にしみが出ていかにも悪い奴という役ばかりだった。軍人やペンタゴンの黒幕という役で。医学サスペンスものの「コーマ」('77)もそうだった。
芦)・年をとってからいい味を出す役者さんっているじゃないですか。ヘンリー・フォンダやジェームス・スチュアートはずっと人のいい男だったけれど。彼らには悪役は絶対につとまらない。
メ)ウィリアム・ホールデンは確か悪役もやっていた。西部劇で脇役をやっていた人なんかに多いね。「ラストショー」のベン・ジョンソンがいい例。
芦)彼らとは逆ですね。
メ)そうそう、最近ではジョン・ボイトが典型だね。「ミッション・インポッシブル」だけじゃなくもう悪役ばかり。出てきた途端に黒幕はこいつだ! って按配でね。そういえば日本の役者さんも経験を積むと、いい人より悪役をやりたがるんだけどそう言うもんかなあ。
芦)アナタみたいに子供の頃から今の今まで常に悪いやつって言う例もありますね。
 
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