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芦)タイトル特集のテーマをほったらかしにして今回も亡くなった人の話からですか?
メ)そうなんだよ。実を言うと日野てる子の話から行こうと思ってたの。
芦)ポール・ニューマンが亡くなった(9/26)から、そうもいかないでしょう? "メイケイのこの一本"と言ったら、やっぱり「明日に向かって撃て」ですか?
メ)そう行きたいところだけれど、ニュースを聞いて真っ先に頭に浮かんだのは西部劇の「左ききの拳銃」なんだ。それから「傷だらけの栄光」「暴力脱獄」「ハスラー」「ロイ・ビーン」。かみさんのエバー・マリー・セイントと共演したヒチコックの「引き裂かれたカーテン」。
芦)相変わらずひねていますね。王道じゃないでしょう?普通は「明日に向かって撃て」あたりからじゃあ・・。
メ)そう、ひねてるの。だってこうやって並べてみたらみんな彼自身がひねた役なの。「カーテン」以外は。
芦)まあどれをとっても傑作には間違いないから許しちゃうけど。
 明日に向かって撃て(特別編)メ)俺ねえ。ちっちゃい頃、なんとなくマーロン・ブランドの若い時ね、「ゴッド・ファーザー」みたいなジジイじゃないよ。「波止場」の頃の彼にニューマンが似ていると思っていたんだ。野性味があって、アウトローの一匹狼的な所がね。そこがもの凄く魅力的だった。俺自身の中にもそういうところがあったからかも知れない。
芦)なにカッコつけてんの。おバカなミーハー餓鬼だったくせに。
メ)中年になってからは更に知的でセクシーな魅力が加わって、もう俺そのままのクールガイ。くりそつでしょう?
芦)そう云うもう死語になった業界用語やめません?
メ)だけんどちょっと違うところを言えば、ブランドは野獣そのままね。暴れまくり吠えまくり。ポールには都会的に洗練された感じがあるのよ。そこが俺様にそっくりなのよ。
芦)その女言葉も止めて。気色悪いから。
メ)「明日に向かって」('69)はもう大傑作に間違いないけど、なんとなくレッドフォードの方がメインの感じがしてポール党としては一寸癪でねえ。
芦)そりゃあ偏見というもんです。あれはあのコンビの勝ちですよ。もひとつ言えばキャサリン・ロスまで混ぜたいくらいです。
メ)認めるけんどね。何年か前にBSで見た年寄りのバアチャンとのやり取りを描いた作品もヒューマンな仕上がりで感心したんだけれど題名は忘れちまった。なんとかノーフールだったかしらん。
芦)そんな老人おボケには付き合えませんよ。どんどん王道から外れて行く感じだなあ。「タワーリング・インフェルノ」('74)っていう代表作だってあるのに。
メ)あれはね。スティーブ・マックイーンの映画よ。
芦)ま〜た女言葉になってる。マックイーンて言えば、「傷だらけの栄光」('56)に彼が出ていたの知っています?
メ)うそこけ!
芦)ほんの数秒。ワンカットだけ。
メ)へえ、凄いこと知ってまんなあ。
芦)白状すると「日曜洋画劇場」で放送した時に淀長さんがちらっと出るから見逃さないようにって言ったんです。
メ)いいこと言うなあ。あのおっつあん。当時はまだマックイーンなんてゴミみたいな存在だったんだろうね。
芦)年齢的には同世代だし、趣味もカーレースときているからまあライバル同士というところですが、ポールが少し先行してダービーを制しマックイーンが一気に差して菊を勝ってともにビックになったというところでしょうか。
メ)おっ!そっちは久しぶりに競馬で来たか。そうなんだ、あのふたりはどっちもいい。最高の男たち!
芦)ポールは「レーサー」、マックイーンは「栄光のル・マン」に出ています。
メ)そうそう。共通項あるね。ところで車と言えばもともと「傷だらけの栄光」は当時若手ナンバーワンのジェームス・ディーンがやることになっていたけど例の車の事故でお鉢がポールのところに回ってきたって朝のワイドショーで言っていた。あれはジミーがやるより絶対にいい。彼には翳があるけれどちょっとひ弱だよねえ。「理由なき反抗」みたいなのにはぴったりだけれどポールには知性と野性味がバランスよく同居していたのよ。
芦)あ、ま〜たナオン言葉!
メ)ホ〜レ君も業界人だ!
芦)でも不思議ですね。ジミーが事故にあわなければポールはいなかったかも知れません。
メ)そうだね。まあスタートラインがそれだからやっぱり彼の真骨頂はアウトローものだよ。俺の最高傑作は「ハスラー」('61)かなあ。ジャッキー・グリースンがいい味出していて、役名なんと言ったっけ。ミネソタ・ファッツじゃなかったかなあ?俺ね。今から20数年前にデビューしたばかりの少年隊と仕事をしてたんだけど当時彼らが生意気にもビリヤードにはまっていてさあ。東山紀之の誕生日に「ハスラー」のLDをプレゼントしたことがあるんだ。ヒガシ!覚えてるかあ!!
 ハスラー芦)少年隊じゃビリヤードって雰囲気じゃありませんね。
メ)ビリヤードのブームって波があったけどひょっとしたらに最初のブームはあの映画の影響があるかもしれないよ。大体日本では”撞球”って書くんだぜ。ダサかったよなあ。知ってた?あの頃から逆にちょっとオシャレな遊びになったんだ。
芦)判りませ〜ん。しかし死語のオンパレードですね。まあ確かに「ハスラー」はよかったですね。モノクロームの質感が素晴らしかった。当時白黒作品はもうほとんど作られていなかったと思うけれど。
メ)「ハスラー2」('86)はカラーでしたがあれもよく出来ていた。彼はあれでアカデミーを取ったんだってね。知らなかった。とっくに受賞していたと思っていたよ。芝居うまいから。
芦)思想的にちょっと左よりと見られていたようですね。アカデミーの会員は保守的ですから。受けが良くなかったんでしょう。私は「2」の評価低いです。前作が出来すぎていたから仕方がないと言っちゃえばその通りなんですが、駆け出しのトム・クルーズあたりが頑張っても太刀打ちできませんよねえ。
 ハスラー2メ)監督は誰だったんだろう。「1」は確かロバート・ロッセンだったとも思うけど
「2」で代わったのかしら。(調べてみたら、おおビックリ!なんとマーティン・スコッセッシだった!)
芦)ほかの作品に触れなくていいんですか?たとえばあなたが若い娘にトチ狂ったと騒いでいた「栄光への脱出」も彼の主演でしたよ。
メ)ジル・ハワースね。アメリカまでファンレターを出した。俺ほんとに恋したんだぜ。いったいあの娘はどこへ行っちまったんだろう。たった一本だけ。私のジル・ハワース!私のキャロル・リンレイや〜い!
芦)馬ッ鹿じゃないの。いい歳こいて。
メ)いいの。男はいつまでもおなごに狂うの。でもね正直言うと「栄光への脱出」”エクソダス”ね。作品は大したことなかった。大体70ミリの作品って迫力で見せるものが多いからみんな大味でさあ。「栄光への脱出」はジル・ハワースとアーネスト・ゴールドの音楽、それにパット・ブーンの歌だけでいいの。♪ディスランド イズ マイ〜ン ディスゴールデンランド・・・・・♪
芦)ハイだなあ。でもポールの話をしたらきりがないですね。
 栄光への脱出メ)こういう対談のときには彼のフィルモグラフィーは見ないことにしてるんだ。知識で語っちゃつまらんもの。このシリ―ズの持ち味は思い出語りだからね。少しくらい思い込みがあっても許してチョ〜ダイ!
芦)勝手な言い草だなあ。そう、だから間違いばっかり。さっきのエバー・マリー・セイントだって彼の奥さんじゃありませんよ。
メ)・ありゃ?そうだ!ジョアン・ウッドワードだ。ご指摘とおり。名女優だけどとっても地味。
芦)彼が監督にまわった「レーチェル・レーチェル」(’68)で起用したのが縁で結婚したんですよ。すばらしい作品
メ)なんでエバー・マリー・セイントとごっちゃになっちゃったんだろう。どっちも美人じゃないからかなあ。なぜか「乾いた太陽」('62)でマリー・セントと共演していて冷えきった救いようのない夫婦を演じていたって記憶が強く残っていた。これも記憶違いかもしれん。大分頭やられてきたかなあ。
芦)そう。ようやく分かったの?相当おボケが入っているでしょう。気を付けてくださいよ。
メ)(調べたらまさにその通り!「乾いた太陽」ではなく「長く熱い夜」だった。しかも相手はウッドワードだ!)ちゃんと指摘してね。だけんどこればかりは絶対間違いなし。「明日に向かって
撃て」「ハスラー」ときたらもう一本は「スティング」だ。
芦)当たり〜!もうひとつおまけに「スラップ・ショット」('77)もはずせない。
メ)「スティング」('73)はわれら競馬党としては当たり前だけど誰が見ても楽しめる大傑作。あのコンビは最高だねえ。監督のジョージ・ロイ・ヒルも混ぜちゃって。ミステリーファンからいえば「動く標的」('66)だってはずせない。
芦)あれは「新」('75)もあってそっちもよくできていました。
メ)原作もちゃんとしていて有名な探偵のシリーズものだったねえ。
芦)ロス・マクドナルドですね。探偵はハーパーです。
メ)そうそう、なんか狭い部屋で水攻めになるシーンあったけれどあれは「新」の方かなあ。
芦)そう「新」です。相手役知っています?ジョアン・ウッドワードですよ。
メ)おうおうここでまたまた登場かあ。
芦)ヒロインって言ったって悪役か犯人ですよきっと。アメリカのミステリー小説では大抵犯人は女なんです。
メ)・さすがにミステリー党!アメリカの原作のしっかりした探偵もんてみんなよくできているね。
芦)「さらば愛しの女よ」
メ)う〜んロバート・ミッチャム良かった!ジャック・二コルスンの「チャイナタウン」。だいたいファンの目が肥えているからちゃんと作らないと許してもらえないのかも。
芦)ほら間違えるでしょう。「チャイナタウン」はオリジナルですよ。
メ)ええ〜?知らんかった。まあ人気俳優が汚いかっこして帽子さえかぶっていれば当たっちゃう日本の探偵ものと根本から違うんだ。
芦)そうです。同じ汚くてもコロンボを見ろって言うんだい!
メ)いいぞ!いいぞう!
芦)私、「新・動く標的」で恋しちゃったんです。
メ)うんわかるわかる。美人駄目だからな君は。悪女のウッドワードがいいとこだ。
芦)失礼だなあ。あの作品にまだほんとに初々しい少女が出てきて、これがメラニー・グリフィスなんです。超カワユかった!
メ)今度はロリコンかあ。でもそれは知らなかった。
芦)日本に入ってきた作品ではデビュー作かもしれません。
メ)サスペンスでいえば「スクープ・悪の不在」や「評決」みたいな社会派サスペンスもあるね。偶然だけどつい先だって「スクープ」('81)をLDで見直したばかり。ふくれっ面をしたペコちゃんにくりそつの初々しいサリー・フィールドが駆け出しの新聞記者をやってて可愛かった。
芦)芝居は超うまいですね。
メ)西部劇のジャンルでいえば「左ききの拳銃」('58)はジェシー・ジェームズみたいな役でもろにはまってた。監督が「俺たちに明日はない」のアーサー・ペンだから当然だね。
芦)アルトマンが作った変形のウエスタン「ビック・アメリカン」('76)もありましたね。
メ)ワイルド・ビル・ヒコックを扱ったやつね。あんまりお呼びでないけど。むしろ弁護士になった「ロイ・ビーン」('72)の方がが好き。ひとくせあってよくできていた。ガンマンの決闘シーンや騎兵隊なんかあんまり出てこないこれまた変テコなウエスタン。
芦)いずれにしても話は尽きませんね。
メ)新聞の扱いもふたりの大の気に入りのウィドマークとは大ちがいだけどまあしょうがないか。朝日新聞なんか1面の三段抜きだぜ。
芦)私も許しますが、チャールトン・ヘストンも大きかった。そっちは許せません。
メ)おうおう!今日は快調だのう。ポールやウィドマークをヘストンなんかと同列に並べられちゃあ確かに許せんなあ。
芦)彼はあの憎むべき全米ライフル協会の親玉ですから社会的には大きく扱う価値はあるでしょうけれど。
メ)その通りだ!最後これだけ言わせて。さっき言った年寄りとの物語ね、俺なんとなく「ドライビング・ミス・デイジー」みたいなイメージで物凄くよくできた作品で暖かいとっても好きな一本なんだよ。(題名は「ノーバディーズ・フール」'94だった。相手役は案の定「ミス・デイジー」のジェシカ・タンディ。「フライング・グリーン・トマト」なんかに出演していた名女優。監督がロバート・ロッセンだからよくて当然。馬鹿にしちゃいけなかったんだ、やっぱり。ポールはこの作品でベルリン国際映画祭の男優賞をはじめあちこちで賞を獲得しているとモノの本にあった。)
芦)その割に話題になりませんでしたが。
メ)そうだねえ。日本の配給会社はどこを見ているのかねえ。そう言えば、俺あんまり深刻なの苦手だけど監督をやった「ガラスの動物園」もあるなあ。
芦)まさしくこれもウッドワードを使っているんです。昔からお気に入りだったんでしょうね。
メ)俺の鉄則。手近かで済ませず。仕事仲間とは絶対に付き合っちゃいけない!ポールずるいなあ。(ざっと調べてみたらさっき名前の挙がった作品以外にも「レーサー」「パリが恋するとき」「パリの旅愁」「孤独な関係」「ミスター&ミセス・ブリッジ」で共演。それ以外にもポールの監督で幾本かにに出演している。本当に愛情深いカップルだったんだなあ。うらやましい!)
芦)ばかなこと言わない!テネシー・ウイリアムズなら「熱いトタン屋根の猫」にさっきの「レーチェルレーチェル」もね。バイオレンスな秀作「暴力脱獄」、古いところでは「都会のジャングル」
メ)おれの大好きな社会派監督マーティン・リットの「ハッド」や「逆転」「暴行」。珍しくロマンチックコメディーに挑戦した「パリが恋するとき」、シャーリー・マックレーンと共演の「何という行き方」。
芦)最近で言えば「ロード・トゥ・パーティション」もありましたね。
メ)徹夜で飲みながらトコトンやるかあ。
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