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メ)うかうかしていたら師走の声を聞いてしまった。前回の対談の内容をまとめている最中に緒方拳さんと峰岸徹さんの訃報が入った。もう随分と日が経ってしまったけど緒方さんの出演されているTVドラマ「風のガーデン」が放送されているのでやっぱり少し触れておこう
芦)私も放送を見るたび凄い方だとその役者魂にうたれます。
メ)正直いうと俺は役者としての二人にはあんまり関心なかったんだけど。
芦)日本の俳優にはまあ冷たいこと!特に男性にはね。
メ)緒方さんの芝居センスと演技は勿論新国劇上がりだし評価をしていたけれどあまり魅力を感じなかったの。こんどのドラマを見るまで。反省します。
芦)もう遅いです。私は緒方さんを大尊敬しています。NHKの第三作目の大河ドラマ「太閤記」からずっとファン。新国劇から抜擢されて藤吉郎役でデビューしたわけですがそのキャラクターと芝居の巧さにびっくりしたことを覚えています。
メ)「風のガーデン」は生と死を静かに時にはユーモアさえまじえて描いた倉本聡のドラマで、劇中ではいい感じのお医者さんをやっているんだ。勿論役作りのせいもあると思うけど本当に痩せられていて、テーマがテーマなだけに見ているのがしんどいなあ。
芦)病気を隠してしかも、ご自身の姿とダブるような仕事をされていたと思うと堪らないですね。
メ)自らがんと闘いながら同じ病に冒された患者の治療にあたる主人公中井貴一そのままだからなあ。本当に凄い。テレビのバラエティー番組を占領しているアホバカお笑いタレントとはわけが違う。
芦)彼らをあがめたててワーキャー言ってる視聴者も一緒です!
メ)いいねえ!その通りだ!「風のガーデン」で一緒した共演者やスタッフの気持ちも辛いだろうね。
芦)視聴率がいいようで嬉しいですね。
メ)ちゃんとした番組を見る視聴者がたくさんいるということだからね。
芦)私だって映画だけでなくテレビを見たいと思いますが見たいものが本当にありません。なんとかして下さいよ。あなたもテレビ屋でしょう!
メ)すいませ〜んというしかないね。俺も同感だから。お笑い芸人の悪ふざけをそのまま番組にしちゃう今のテレビマンの安易さとセンスの無さは情けない。
芦)ドラマだってバラエティーとどこが違うのっていう感じですもの。ところで役者魂と言えば峰岸さんにも共通しますね。
メ)峰岸徹と言えば私にとってはやはり作品に対する思い出よりもなあ・・・・
芦)岡田有希子さんのことですか?一時ワイドショーや週刊誌で大騒ぎになりましたから。もう20年近くたちますか。
メ)弁解も、怒ることもせず毅然とされていて立派だった。事務所の方針だったのかもしれないけれどやっぱり筋金入りの役者はエライ。つい先だって出たあのひねくれ記事の多い週刊ポストでも珍しく真っ当なお別れ記事になっていた。
芦)ホントに成り上がりのお笑い芸人とはわけが違いますね。
メ)俺はユッコや彼女のチーフマネジャーさんとも仕事を通じて親しかったので大きなショックを受けたんだよ。何年か前にそのマネージャーさんも亡くなられた。だから、あの事件の真相を知る人はもう誰もいなくなってしまったことになる。
芦)それでよかったのかも知れませんね。
メ)今頃3人で仲良く昔話をしているかも知れないさ。合掌。
芦)珍しく重い雰囲気にになってしまいましたね。本当はこのあと本来のテーマ”映画会社のタイトルマーク”にいくはずですけどそんな気分じゃありませんね。(実はこのあと「芦」が「テーマなんか放り出してもう毎回”寂別のシネマ”でずっと行きましょう」なんて言い出した。そうなんだ。たった今「ジュラシック・パーク」のマイケル・クライトンの訃報が入ったし)
メ)マイケル・クライトンが亡くなったそうだぜ。
芦)私はあんまり良く知りません。「ジュラシックパーク」の原作、脚本家としての知識だけです。
 アンドロメダメ)大体みんなそうだろうね。映画人と言っても原作や脚本に携わっていた人だからネ。初めて名前を聞いたのが「アンドロメダ・・・」('71)だったなあ。
芦)私は見ていないんです。
メ)「ウエストサイド物語」を撮ったあの巨匠ロバート・ワイズの監督作だったので、物凄く期待して見たんだけど大したことなかった。なんか砂漠の中の研究施設だったかで危険なウイルスが猛威をふるうという今でいえばB級パニックものによくあるテーマで、出来もイマイチだった。
芦)ダスティ・ホフマンの「アウトブレイク」と同じですね。
メ)あの方が断然面白い。あの監督は巨匠の割に時々なんでっていう駄作を出すのね。ホラーの「オードリーローズ」とか。
芦)いわゆる職人監督ってやつですかネ。時々金槌を打ち間違える。
 コーマメ)クライトンはSFものが多かった記憶があるけど確かお医者さん上がりかなんかで医学サスペンスものが得意だったんじゃないかなあ。「コーマ」('77)とか。
芦)ジェラルディン・ペイジがヒロインをやったやつですね。どこかの病院で秘密の人体実験かなんかをやってるんでしたね。
メ)臓器密売のお話だったと思う。原作が「覚醒」という題で早川書房から出ていて映画よりはるかに面白かった。誰が監督したんだろう。(あとで調べたらクライトン本人の監督作だった。さもありなん)大体だなあ、悪役のボスが我らがリチャード・ウィドマーク様だったんだぞ。記憶に間違いがなければ。許せないだろう。
芦)そうでしたか。彼の晩年は作品に恵まれませんでしたね。別に悪役でもいいんですが。
 ライジング・サンメ)人の好いお爺ちやんという感じではないから仕方ないけど。クライトンの話題作には「ライジング・サン」('93)があった。
芦)ビジネス界を舞台に殺人事件を絡めた作品でしたね。これもひどい出来の映画でしたね。
メ)そう。ジャパンパッシングの本として原作も話題になったけど。そんなことはどうでもよくて、とにかく中身がめちゃくちゃ。監督が悪いんじゃないの?
芦)監督は「ライトスタッフ」のフィリップ・カウフマンですよ。
メ)他にどんな作品を撮った人?
芦)不勉強だなあ。あなたも好きでしょう?「SF/ボディ・スナッチャー」('78)
メ)うんうん大好き! ドナルド・サザーランドが出たやつね。最近の二コール・キッドマンの「インべージョン」よりず〜っとコワイ。もとが一緒でも、ダンチ。ラストは映画史に残るくらいコワ〜イ!
芦)そうでしょう? 他にも「ワンダラ―ズ」('79)「存在の耐えられない軽さ」('88)。
メ)あの監督かあ。馬鹿にしちゃいかんぜよ!
芦)もう一言言わせてもらえば、「レイダース・失われたアーク」の原案を書いた人です。
メ)そうだぞ!クライトン!お主のホンが悪いからカウフマンが悪く言われちゃうんだ。カウフマンという名前にヘンな奴はいないんだ。見ろあのクリスチーネ・カウフマンの神々しい美しさを!
芦)コロコロ変わる人だなあ。
メ)だってさあ、ひどいと言えばちょうど数ヶ月前に偶然クライトン自身が監督をした「ルッカー」というサスペンスものを見たの。ちょっとSFの味付けをしたサスペンスなんだけどこれがひどい作品でね。アルバート・フィニーとジェームス・コバーンという珍しい名優の組み合わせなんだけれど。
芦)原作者やカメラマンが監督に手を出して失敗するいい例ですね。ちょっと調べてみたんですが「未来警察」('85)とかクライトン監督作にはろくなもんがありません。
メ)ブリンナーが半分ロボットみたいなもんになった「ウエストワールド」('73)くらいだね。評価できるのは。
 スフィア芦)許せてもプロデューサーまでですね。「ジュラシック・パーク」以外にも「ディスクロージャー」('94)が原作と製作だし「スフィア」('98)もそうです。
メ)ああ。あれはだめ。ダスティ・ホフマン使いながら超ろくでもないSFもの作っちゃった。
芦)私もその意見に大いに賛成です。原作だけでも「コンゴ」('95)という駄作
がありますし。
メ)あれは彼のせいとは言えないけど確かにヒドイ。なんだか悪口大会になっちゃったなあ。
芦)「ツイスター」('96)はどうです。あれも製作と脚本ですよ。
メ)えっ!?そうなんだ。あれはいい。救われた!といったってスピルバークの腕じゃない?
芦)ちょっとびっくりしたのは日本でも当たったテレビシリーズの[ER緊急救命室」が彼の製作総指揮だったこと。
メ)へ〜知らなかった。ところで専門外に手を出して失敗すると言えば、ちょっと横道にそれるけど、さっき話に出た「ウエストサイド物語」ね。中身以外にも当時斬新なタイトルで傑作と言われたんだよ。
芦)そうでしたか、私はあまり覚えていませんが。
メ)なぜ今この話を持ち出したかと言えば、そのタイトルを担当したソール・バスを取り上げたドキュメンタリーのDVDがつい先だって発売されてね(「ソール・バスの世界」)これがどこのショップでも売り切れで。
芦)私その方知りませ〜ん。
メ)そんなことに関心があるのは俺くらいだと思っていたけど。ファンってどこにでもいるんだなあ。
芦)自惚れてはいけません!
メ)もともとその道の専門家と思っていたんだけど彼はパッケージデザインなんかも手掛ける有名なデザイナーだったらしい。
芦)へ〜色々詳しいですね。
メ)正直言えばあんまりデザインに関心はないんだ。それより彼が浮気してやっぱり映画の監督まで手を伸ばした作品があったのよ。それができの悪い昆虫モノのパニック作品でね。DVDの中にも登場するのかなあという興味でね。(芦が調べたら「フェイズW/戦慄! 昆虫パニック」という作品ということが判明した。ねえ、タイトルからしてC級ポイでしょう?日本未公開だから一体どこで見たんだろう。73年の制作というから35年も前の作品だし。テレビで深夜にやったのかなあ。しかも我ながらソール・バス監督作とよ〜く気がついた!)
芦)次回はこの感想をしましょう。”映画会社のタイトルマーク”とあわせて。
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