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メ)あけましておめでとう。
芦)今年もよろしくお願いします。
メ)「映画会社のタイトルマーク」久しぶりだねえ。
芦)最近の連載はお悔やみ話ばかりでしたからね。ソ連映画までやったんでしたね。
メ)欧州ではイギリス映画「ランクオーガニゼーション」とかロンドンブリッジの時計台が出る「ロンドンフィルム」の話をしたんだね。意外と記憶のないのがフランス映画とイタリア映画なんだ。なぜだろう?
芦)映画製作や興行のシステムが根本的に違うんだと思います。大映画会社もありませんしね。
メ)ええっ? そう? イタリアにはチネチッタの大撮影所があるのに?確かに名前が浮かばないけれど。
 獲物の分け前芦)特にフランスでは従来は大プロデューサーが出資者からお金をかき集めて監督に映画を撮らせるケースが多かったようです。あなたの大好きな「輪舞」とか「獲物の分け前」のロジェ・ヴァデムなんかは自分で監督もやっちゃいましたけど。
メ)フランス映画と言うとまず東和のマークが出るじゃない。川喜多かしこの。あれは当然日本国内の配給会社ということだけれど昔はあそこが作っているのかと思っていたもの。
芦)同じようなパターンではヘラルドもそうですね。
メ)そうそう。ヘラルドはもっと手広くていろいろの国の作品を配給していたようだけれど。イタリアにはディノ・デ・ラレンティスというめちゃくちゃ有名な大製作者がいただろう。でも「キングコング」(’76)が典型だけどハリウッドで撮ってるからね。
芦)ソフィア・ローレンの旦那さんのカルロ・ポンティは彼女を使った喜劇などをたくさん制作しているじゃあないですか。やはりフランスと同じようにプロデュサーシステムだったんだと思います。
メ)イタリア映画と言えば♪アモ〜レアモ〜レアモ〜レ アモレミ〜ヨ♪ってアリダ・ケッリが悲しく歌う「刑事」とか「鉄道員」「わらの男」を作ったピエトロ・ジェルミ、クラウディア・カルディナーレが鮮烈なデビューをした「鞄を持った女」。俺の中ではなんとなく新しい作品の方に入っちゃってる「ブーベの恋人」なんかやっぱりそうだったのかなあ。
芦)私にとってのイタリア映画〜! って言ったら前にお話ししたソフィア・ローレン
の「ああ結婚」「昨日・今日・明日」ですけどポンティが必死に彼女の作品を撮るために頑張って資金集めをしたんだと思いますよ。
メ)イタリアには「RAI」という「NHK]のような国営放送があってそのマークはよく覚えているけれどあれはテレビだものね。
芦)ひょっとしたら映画も作っているんじゃないですか? いずれにしろヨーロッパの映画についてはもっと勉強してからにしましょう。
メ)そう。不確かなことは止めだ。これからは香港や韓国の映画についてもやらんといけないねえ。
芦)残るは我らが日本映画ですか?
メ)それがつまらないんだよねえ。日本映画のマークは。味も遊び心も感じられないよ。最も国内では古いと言われる日活はなんだか土壁のようなところに文字が浮かび上がるやつだろう。
芦)大映が朝やけ空に輪っかの一部がくぼんだマーク。東映が磯に打ち寄せる波。
メ)松竹が富士山に松竹映画の文字。
芦)鉄パイプみたいなのがクルクル回ってるようなところにマークが出るのは東宝。あれはいったい何ですかね。
メ)最近は七色の光が放射状にさす真ん中に東宝のロゴ。いずれにしろ遊び心がないねえ。マークが出るとドキドキするじゃない。よし始まったっていう。それが全然ないのよねぇ。松竹なんかあの富士山にカメラが寄って行くと寅さんが鞄を持って登っているとかね。スピルバークならやりそうだけど。
芦)東映映画ならあの岩のところからカメラがパーンすると釣りバカの浜チャンとスーさんが釣り糸をたれてるとか。でもあれも松竹の製作ですしね。
メ)話が弾まないからこれで終わりにしよう。「映画会社のタイトルマーク」特集。
芦)なんだか締まらない終わり方ですねえ。
メ)ただクレジットタイトルについては知りたいことがいろいろあるのであらためてやりたいと思っている。それではお悔やみコーナーといきますか。
芦)お正月早々ですか?
 アラバマ物語メ)うん。今年は止めようかなと思っていたんだけれど暮れが押し詰まったところで「アラバマ物語」のロバート・マリガンが亡くなったもんだから。(12/20)
芦)数々の名作ベストテン企画ものでは一番に挙げられる作品ですからねえ。
メ)無実の罪に問われた黒人を弁護する弁護士のお話。アメリカ民主主義の輝くような崇高さを描き出して見せてくれた。
芦)あの作品をみてアメリカの素晴らしさを感じた人は多かったんじゃないですか?
メ)ここ数10年は世界の警察みたいな傲慢な姿ばかり見えてくるけどあのアメリカはどこへ行っちまったのかねえ。あの作品が公開された時代だったらオバマが大統領になるなんてまずありえない。
芦)アメリカ映画を語るなら絶対見なければいけない一本。決して芝居がうまそうにみえないグレゴリー・ペックが素晴らしく見えましたからね。
メ)そう。マリガンには「マンハッタン物語」(’63)「サンセット物語」(’6 6)という似た題名の作品が記憶にあるんだけどどちらも内容もよく覚えていない。両方ともよくできたラブロマンスだったと思う.べたべたとした甘ったるさのない大人向きのいい映画だったなあ。どちらかにまだ若い頃のナタリー・ウッドが出でいて主人公がラストシーンでプラカードをもって愛を告白するの。こっちももろに青春真っ只中だったから物凄く共感した記憶がある。
芦)へぇ〜純だったんですね。
メ)マリガンには人間の本質を冷徹に見切った上で注ぐ温かい眼差しがあってどの作品も安っぽくないの。
芦)私は幕がしまってもしばらく立ち上がれないほどしびれた映画が「おもいでの夏」(’71)です。
メ)あれもそうか。うん。立ち上がれなかった気持ちわかるわかる。音楽も素敵だった。
芦)ジェニファー・オニールの人妻に恋しちゃう少年の淡い恋心を切なく描いた作品でした。
メ)あの年頃の男の子は一度は年上の女性に恋い焦がれちゃうのよね。俺も高校の時教生の先生に何となくホの字だったからよ〜く分かる。勿論ジェニファー・オニールほど美しくなかったけれど。
芦)あんな美しい先生がいたらみんな狂っちゃいますよ。
メ)俺の忘れられない作品はもう一本。ジーナ・ロロブリジダと「避暑地の出来事」で人気の出たサンドラ・ディという二人の美人に西部劇なんかよりはるかに喜劇向きのロック・ハドスンがからむ「九月になれば」(’61)。イタリアが舞台で当時のおしゃれな乗り物のスクーターに相乗りするいかにも開放的なイタリア〜!っ て感じが出たコメディだった。ボビー・ダーリンが歌う主題歌もヒットしたっけ。
芦)西部劇と言えばやはりペックを起用した「レッドムーン」(’68)という作品もありましたね。
メ)やっぱり優秀な監督はジャンルを問わず何でも作っちゃうんだよ。
芦)「分かれ道」(’63)は違います? ヒューマンな素晴らしい作品だったけど。
 野のユリメ)あれはラリー・ピアースだよ。♪〜エーイメンエーイメン♪って歌もヒットした「野のユリ」でデビューしたシドニー・ポワチエが出たやつだ。すぐれた作品だった記憶があるけど全然中身を覚えていない。
芦)子供が主人公だった気がしますが。
メ)そうだね。モノクロの低予算作品だったけれど、すごく新鮮でよくできた映画
だった印象だ。西部劇は作ってない? ジェームス・ガーナーと例の殺人犯になっちゃったアメフトのスーパー・スターのO・J・シンプソンなんかが出た (ひょっと したらジム・ブラウン? 黒人と言っても間違えてもウッディー・ストロードではな い)「砦の29人」って云う。う〜ん、でもあれはやっぱり違うなあ。
芦)そうです。違います。あれはラルフ・ネルソン監督。
メ)そうだそうだ。ラリー・ピアースが西部劇撮るはずないよなあ。面白いウエスタンだったけれど。”ラ”がついてるだけで一緒になっちゃうんだからなあ。少しぼけてきたかなあ。(ホントにもう絶望的だ!あとで〈芦〉が調べたらシンプソンどころか、なんとこれこそポワチエ出演だった!おまけに「分かれ道」にはポワチ エは出ていなかった!)
芦)大丈夫。あなたの記憶力は大したもんです。私はピアースといったらイコール社会派というイメージだから「ある戦慄」(’67)を評価していたんです。
メ)そうだねえ。俺は社会派というよりヒューマンな作品が得意な超寡作の監督という記憶だなあ。例えばあれは違う?「いつか見た青い空」。エリザベス・ハートマンという新人の女の子が盲目の少女を演じるお話。良くできた小品だったんだよ。
芦)私は覚えていません。
 夜の大捜査網(メ・〈芦〉の調査で判明。あれはガイ・グリーンという監督の作だった。なぜ 間違えていたんだろう?間違いなくこれにはシドニー・ポワチエが出ていたからいっしょくたになっていたんだろうと思う。大体「野のユリ」は尼さんと共演し ていたので割と記憶がしっかりしているけれど「分かれ道」「いつか見た青い空」の2本はおれの頭の中で完璧に判別がつかなくなっていたんだ。どちらにもポワチエが出ていたような錯覚していたから。それにしてもポワチエはどこへ行っちまったんだろう。話がメッチャ脱線しちゃうけど。「招かれざる客」「手錠のままの脱獄」「夜の大捜査線」といった超素晴らしい作品に出ずっぱりの黒人俳優だったのに。今で言えばさしずめデンゼル・ワシントンというところだけどいつのまにか銀幕から姿を消してしまった!)
メ)「いつか見た青い空」(’65)は絶対に忘れない記憶があってね。原題が「APATCH OF BLUE」と言ってね。大学受験の予備校で英語教師が授業中、 素敵な題の映画がありますと言って紹介してくれたのさ。パッチは”パッチワーク”というようにツギあてなんかの小さな布の端切れ端布だろう。ほんのかすかなイメージしか残っていない青い空のことを形容しているんだ。予備校の記憶で残っているのはそのくらいしかないけど。予備校の先生としては素晴らしいなあ。
芦)ポワチエと言えば私も大ショックを受けたことがあるんで告白しちゃいます。
メ)おっ!珍しい!いけいけ。
芦)彼の奥さん知っていますか?。あのジョアンナ・シムカスですよ!
メ)おおう。「冒険者たち」のソバカス娘!
芦)私はポアチエもシムカスも大ファンでしたから結婚した時は大ショックでした。
メ)う〜ん。君は心が狭くてイカン。いいカップル! でもちょっぴり悔しい!あの娘はいい!そう言えば「冒険者たち」以降あまり名前を聞かなくなったけど。
芦)「オー!」や「夕なぎ」に出て、キャロル・リードの「邪魔者は殺せ」のリメー ク「失われた男」で共演したポワチエと結ばれたって訳です。そして引退しちゃいました。私と世界の映画界からシムカスを奪ったのがにっくきポアチエです。
メ)それでポワチエの方はどうなったのさ。
芦)彼も引退して故郷のバハマで優雅に暮らしているとのことです。
メ)人気俳優にしては珍しく賢い生き方だな。普通はスキャンダルでぐちゃぐちゃな人生になっちゃうのに。彼らしいよ。
芦)マリガンやピアースのその後の活躍はどうだったんでしょう? 日本には輸入されていないけどやはり作り続けていたんでしょうか?
(メ・この連載にあたっては私は無責任ですが自分で資料やインターネットをひも解いて作品や人物について調べごとをしないようにしている。そっちは〈芦〉に任せ記憶だけを 頼りにトークしている。読まれている方もおんなじように勘違 いしていて相づちを打ってくれればそれでいいと思っているんです。おまけに調べれば調べるほど山のようにしゃべりたいことが出て収拾がつかない。そもそもこのページはしゃべっているうちにとんでもない方向へあちこち飛ぶのが持ち味と〈メ〉は勝手に思い込んでおり、元のテーマに戻れなくなることはもう疑いのない事実であって・・・・。ところがその禁を破って”ラリー・ピアース”とパソコンのキーを叩いてしまった。もう後の祭り。様々な記憶がよみがえって頭はぐじゃぐじゃになってしまったのです。若い頃原作フィリップ・ロス)を読んで感動した「さよならコロンバス」(’69)のタイトルがいきなり目に入ってしまったのだ。今では数々の佳作を生み出す監督としての方が通りのいいリチャード・ベンジャミンと、後に「ある愛の詩」や「ゲッタウェイ」で大ブレークするアリ・マックグローが並木の下を並んで歩くシーンが目に浮かんできて離れない。あの作品はベンジャミン本人の監督か、なんとなくマイク・二コルズ作だったかなあという記憶だったんだ。それに「エアーポート」シリーズに端を発したパニックモノのの流れでできた「パニック インスタジアム」(’76)もピアース作品だと思いだし大ショック! なんせチャ―ルス・ヘストンが出演したこの作品は俺の中で「ジェットローラーコースター」と並ぶパニックモノの失敗作と位置付けされていたわけであり。ほ〜らね。もうしゃべりたいことが湯水のように湧き出してきてしまう。あ〜あ失敗失敗!)
メ)そうだね。市川昆やヒチコックのように年をとっても活躍していた監督は世界中でもそう多くないよね?日本だってもう亡くなっちゃったけれど熊井啓とかあるところでやめちゃうじゃない。監督業はしんどいんだろうねえ。みんなタバコを吸うし酒の飲み方も並みじゃないから ね。
芦)確かにお年を召しても活躍をしていた今村昇平や黒澤明はバイタリティーにあふれている印象ですもの。
メ)やわな奴にはできないこと。浮ついたテレビ屋なんかは見習ってほしいねえ。
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