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TOPDigitalVillageサロン>No.15
はじめに
完全バランス再生」という言葉でデジタルから出口まで、ホットコールドが完全に対象となっている再生を実験したのが2006年7月のエンゼルポケットさんでの実験。その結果はA&V Village 2006年の9月号ですから 私(西出晃)の実験開始からですと既に2年くらいもたってしまいました。英語で全て言うと「パーフェクトバランスドライブ」とでもいうのでしょうか!? 日本語だと「完全平衡駆動」でしょうか!?
このときはDDAC-Pro2の発表でDACチップ2ヶでホットとコールドを生成し、それを2回路使い、アナログ回路にアンバランスーバランス変換器が一つも入らない再生方式として脚光を浴びました。最近でも間違えている人がいるので繰り返しますが、アンバラーバランス変換が一箇所でもはいると、最後の最後まで異なる波形が伝送され、完全なバランス再生とはなりません。逆に異なる信号がそのままスピーカーに到達してしまいます。これでは意味がありません。一部分だけなら、既に何十年も前から実施されていることです。
私が言いたいのは、デジタルだからこそできたと言える、スピーカーまでホットコールド全く同一回路で、回路のバラツキ以外にはホットコールドの信号が全く変わらない再生を言います。(もちろん その仕組み上反転していますが)
ではバランス伝送を簡単に説明しますと、
 「長距離などノイズの乗りやすい環境で使用するために開発された伝送方式で、信号を ホット、コールド、グラウンド(+、−、G) 3本で伝送し、ホットとコールドは反転した信号を送信し、受ける際には、反転し差分を取り、伝送中のノイズを取り去りSNの良い信号伝送をする」
 というもので、私が提唱している完全バランスドライブとは意味がすこし異なるものです。もちろん伝送途中では、このバランス理論を使い、理想的に完全に反転した信号を用いてノイズ除去を理想的に行うことも同時に行っていますが、最終のドライブも理想的に行おうとしている点で意味が異なります。
完全バランス再生の構成
「一般のバランス接続を用いた再生」と「完全バランス再生」(パーフェクトバランスドライブ)はどう違っているのでしょうか?
さて、完全バランスドライブはこの回路になります。DACから全ての回路が上下全く同一になっているのがおわかりいただけると思います。こちらも片チャンネル分だけ記載していますので、ステレオでは同じものがもう一つ必要です。またプリアンプはバッファーアンプ内蔵になっていますが、パワーアンプに十分ゲインがあれば勿論不用ですし、私もアッテネータだけでバッファーアンプ無しで実験していますが、回路は性能を落とさずにゲイン配分が可能であれば少ない方が理想的です。
スピーカーの動きは、正側が+に移動するとき、負側は反転していますので、マイナス側に移動して、アンバランスの2倍の波高値になります。正側がマイナスの時は、負側は反転してプラスですから、上下(ホットとコールド)がどちらになっても全く同じ特性を示すはずです。これが完全バランス再生です。アンプをBTL接続して4倍のパワーを得るという方式に似ていますが、決定的に違うのは、完全バランス再生では反転回路(アンバランス−バランス変換)が存在しません。
これを実現するためには、DACのホットコールド(図で +−)が全く同じでなければなりません。一般の機器のようにアンバランスーバランス変換が一つでも入ると、完全バランスドライブにはなりません。
さて、ヘッドフォンの話しになりますと趣が少し変わります。それは共通インピーダンスの問題です。
完全バランス再生のスピーカードライブにおける意味 アンプとスピーカーの接続
最近はさすがにバランス再生に関して話題も盛り上がってきました。しかし、この意味を良く理解していただいてない方も多いようです。いわゆる、言葉に惑わされた誤解が多いですね。もちろん新しくない技術でも、ブームになって売れればそれはメーカーにとって都合が良いわけですが、私またオーデイオマニアとしては真の意味を理解して追求していただいて、その良さを味わっていただきたいと思っています。
一般のスピーカー再生は左記のようになっています。
 当然、右と左は別々ですからお互いが影響を受けることは少なくなっています。
ヘッドフォン再生ではどうでしょうか?
 左記のようになります。下の図では、右側再生の電流がアースに戻ります。もちろん 左側の再生も同じ部分を通ります。
詳しく説明しますと、左側の電流はR1→R SP L→R2 を通ってアンプに戻ります。
 右側はR3→R SP R→R2を通ります。つまり、R2はI1とI2の電流が通ることになりR SP L, R SP R 、 の部分がお互いの電流によって影響を及ぼすことになります。少し専門的に言うと、左L側だけが再生されている場合のスピーカーの接続点の電位E=I1xR2となり本来0Vであるべき場所の電位が少し変わってしまうのです。
 これが共通インピーダンスの問題です。少しと書きましたが、実はかなり問題となります。
ヘッドフォンのワイヤーはGND共通が多いのですが、ワイヤーの長さがかなりありますので大問題となります。OJI Specialではヘッドフォンワイヤーの交換改造も行っていますが、こういう意味があるのです。もちろん、ヘッドフォンのパーフェクトバランスドライブではキャノンコネクタによる完全な分離を行っています。前後しますが、長い設計経験から言うと共通インピーダンスが問題とならない接続は、かなりインピーダンスの小さい設計でも長くて数センチメートルほどでしょう。私の設計するプリント基板はこういう理論で設計されていますし、貴金属を使いなおかつ低インピーダンスであるコバルトプレートを積極的に回路に利用しているのもこういった意味があるのです。
さて、こんなに単純なことですから、アナログ部分ではこういう問題が他にも存在しているはずですよね。当然、共通インピーダンスを持たないワイヤリングが理想的です。しかしこれは普通のアンプでも同じですよね。
 実は、一般のパワーアンプでも同じ問題がありますし、パワーアンプだけでなく プリアンプでもデジタル部分でもあるのです。
では、完全バランスドライブは何処が異なるのでしょうか?
アンプ内部にまでこだわると!?
さて、完璧なスピーカー(ヘッドフォン)のドライブを考えた場合何を目指さなくてはならないのでしょうか?
たとえば正弦波再生を考えた場合、スピーカーを押側(凸)と、へこむ側〔凹〕の動きがまったく同じでないと理想的ではありません。言い換えると、ドライブは正負無限大に渡ってその特性が直線でないといけないのです。しかし実際は、回路を細かく見ると全て非直線ですし、そのドライブ能力は無限大ではありません。(ここで言っているのは出力ではなく内部インピーダンスが0ということ)
 少し・・いや、かなり突っ込んで話しをしましょう。難しいと感じたら、イメージだけでも掴んでいただきたいと思います。
 この図は一般的な パワーアンプの回路です。トランジスタ1(TR1)とトランジスタ2(TR2)のコンプリメンタリドライブとなっており、スピーカーをドライブします。プラス側は(スピーカーが出っ張る方) をTR1、マイナス側(スピーカーが引っ込む方)をTR2が担当します。
 
図でI+とI−になります。点線部分は、 休んでいるトランジスタになります。
 図で理解いただけると思いますが、
1. マークが違うトランジスタですが、実際にも全く同じ動作はしていない。つまり、プラスとマイナスで全く同じ相似形の信号を与えてもスピーカーはプラスとマイナスで同一の動作はしません。
2. 電流は向きが違いますが必ずトランジスタとGNDを通ります。
 実は、これだけのことなのですが、大問題があるのです。1は再度言わなくてもわかると思いますが、違う波形が再生されてはHiFiではないですよね。歪みです。
あと図ではわかりませんが、プラスとマイナス(TR1とTR2)の切り替えはスムーズに行くのでしょうか? 実は全然スムーズではなく、不感地帯みたいなものが存在します。クロスオーバー歪みと言います。現在ある増幅素子は非直線素子(入力と出力が比例しない つまり直線的に増幅しない)を使う欠点になります。これを無くすために無信号時に少しだけ、同時にTR1とTR2を動作させておいて不感地帯を無くすのが一般的で、 流さないのはB級動作と言いますが、実際にはB級でも少し流しています。これを、普段聞く出力分くらいは流したものをAB級動作と言います。AB級では巨大なヒートシンクが顔を出し、大量の熱を発生しますので直ぐにわかります。そしてもっと流し、最大出力まで流しているのがA級動作で無信号時に最大電力となり、全ての領域でTR1とTR2が動作しています。これがアンプの理想型です。巨大な放熱器から最大電力を放出し、今か今かと信号を待つ姿! あまりに巨大で効率が悪く高額となりますので市販品ではごくわずかな高級製品しかありませんが、自作派には、たまらない魅力となっています。
 もちろん、理想追求、最高を求めるOJI SpecialのDAMPは全て純A級動作です。
少し前置きが長くなりましたが、なぜ詳しく説明したかというと、本来、とても重要なことなのですが、一般の方は見えませんしスペックにも現れないので見落としていますし、技術屋でもあまり知らない、アースの問題があるのです。前述の共通インピーダンスです。
  図で、左右のスピーカーを通った電流は、アンプ内部で必ずアースに流れ込みます。いくらアースラインを短くしても、0にはできません。だから問題となるのです。
 実際にモノラルアンプを使うと音がよい、というのはこういう事も関係があるのです。モノラルアンプでは 他チャンネルのアースの影響を受けませんし、理想的です。(本当は 筐体からガードに流れる部分や電源、入力、などの問題もありますので全く干渉が無いわけではありません)
 純A級でモノラル2台構成、実はこれでもまだ問題があります。それは、プラス側とマイナス側が全く同じではないと言うこととアースに流れる電流は入力部分に大きく影響すると言うことです。これを改善するのが、いわゆるBTL接続と言われる、アースを使わないドライブ方式です。
 左は構成図です。全く同じアンプ2台を用いてスピーカーをドライブします。
 基本的にプラスとマイナスが完全に対象となることがおわかりいただけると思います。これが、完全バランス再生の出力の姿です。もちろん純A級が理想です。
 OJI Specialでは、DACチップから全く同じ回路で、完璧にバランスされた信号をスピーカーまで加えています。これを全て行ったのが「パーフェクトバランスドライブ」なのです。
 ヘッドフォンのワイヤーをただ個別に持ってきたり、アンプをBTL接続したり、アンバラをバランスにする回路を付けてバランス回路を形成したりしたのとは根本的に異なるのです。全てが必要なのです。
 仮に、アンプ以降を完全バランスにしてもDACの出力がホットとコールドで異なっていては、逆にそれがスピーカーまで到達してしまいます。つまり、デジタルからスピーカー(ヘッドフォン)まで全てが完璧な、最初に記載した、この回路! これが、完全バランス再生、完全バランスドライブなのです。。
OJI Specialでは今まで書いた全てのことを具現化そして再生いたしました。
 完全バランス出力DAC DDAC-Pro2、バランスアッテネータ、純A級、完全バランス モノラルアンプDAMP−M1、完全バランスヘッドフォンアンプ、そして、ヘッドフォンなど数々の装置を理想追求の元でクリアしてきました。もちろん、完全なバランスとはいえアースの大切さは変わりません。アース回路は共通インピーダンスを排除し、どうしても排除できない接続点は極力短くし、インピーダンスを抑えコバルトプレートを使うなど完璧を求め設計しております。また、アース関連もメスを入れ数々のアクセサリをシリーズ化していますがこういった意味があるのです
その再生音は、異次元の切れや抜け、そして抜けるような青空を見ているような爽快感!
 オーディオ再生の新時代の幕開けです。
 
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