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TOPDigitalVillageサロン>No.46
アナログディスク(LP)の重さ
最近復刻されるLPは、その殆どが[重量級高品質]をうたっています。つまり自重が200〜300グラムあって、音がよい、というのが売りなLPです。
この理由は、LPがまだ盛んだった頃、第一次オイルショックが起こり、塩化ビニールが原料のLPも、価格高騰と材料の入手難にあって、使用量を抑えるために、厚さをそれまでよりも薄くして重量を180グラム程にしたのが始まりですが、オイルショックが収まった以降も180グラムの重さが標準値になってしまったのです。
CDが登場し、LPが落ち目になると、LP盤は珍しい存在となって、初期の厚さと重量に戻したLPが、「音がよい」という言葉を宣伝文句にして再登場したのが始まりだったと私は記憶しています。
初期のLPの中にはディスクの色も透明な赤や青などもあって楽しかったのですが、「音はカーボンが入っている黒が一番良い」という評論家たちの意見から黒に統一され、「ブラックディスク」がLPの別名にもなりました。
その頃は確かに厚く重いLPや、赤よりも黒が良い音に聞こえたのでしょうが、現在のシステムでそれらを聞き比べてみると、当時ほどの音の違いは感じられず、むしろ録音の善し悪しの方がウエイトが大きい感じがしますが、重量LPを支持する人が少なくないことも確かです。
プロダクションマスターがカギ
売れて1000枚、5000枚なら大ヒットというのがクラシックLPの営業実績でしたから、昔からLPという商品は、儲かる代物ではなかったようです。それでもたくさんの企業がLPを製造販売してくれたのは、「クラシックレコードは、豊かな社会、豊かな暮らしのためにはなくてはならないもの」という文化的な価値を評価する気持ちがあった」おかげでしょう。
[豊かさ]の意味が精神的なものから物質的、はっきり言えばお金が沢山あることに変化してしまった現在では、クラシック音楽を自宅で聴く文化は、ごく一部の好事家だけの所業になってしまったことは、残念なことですが事実です。
話を元に戻しましょう。
最近重量級LPによる往年の名盤の復刻が盛んに・・・というほどではなくても、時々行われて話題となっています。大方は好評で、新しいアナログファンを生み出している事も確かです。但し、こうしたLPの中には、CDで出ているものよりも音がわるいのが混じっており、LPならすべてが良い訳ではないことに注意が必要です。私も全部を聴いた訳ではありませんが、オリジナルマスターから、生産用のプロダクションマスターを起こす際に、不用意なコピー作業の段階で起こったと考えられる音の劣化が生じている例が発見されるからです。
以前にも書いたように、アナログマスターを生産するテープレコーダーの完動品がなくて、再生ヘッドの出力をデジタルアンプとプロセッサーで周波数特性だけを平坦にしたものや、カッティング技術の低下、あるいはプレス原盤やプレス成形過程の技術低下など、アナログ生産技術は全盛期に比べれば低く、しかも日本ではそれができるメーカーが一社しかないなどが背景にあるのです。
新しく復刻されたLPがすべてだめな訳ではありません。最近エソテリック社から復刻された、英デッカ名盤シリーズ・・・ブリテン指揮カーソン(ピアノ)のモーツアルト・ピアノ協奏曲、アンセルメ指揮スイスロマンドのファリャ・三角帽子、ケルテス指揮ウィーンフィルハーモニーのドヴォルザーク・新世界交響曲の3枚は、全盛期のLPを彷彿とさせるで出来映えの立派なLPであることが、試聴して確認できました。
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同じLPでも、その音の善し悪しは再生の仕方によっても大きく変わります。プレーヤーのコンデションの維持だけでなく、カートリッジの針先の掃除や、ディスク面のごみ取りと静電気の除去などが怠れないのです。こうした手間をかけることそのものが、LP再生のセレモニーとて、楽しさと感じる人でなければ、LPは決して良い音を聞かせてくれないことを忘れないようにしましょう。
 
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