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TOPDigitalVillageサロン>No.49
チャンネルクラシックスから、レイチェル・ポッジャーとゲーリー・クーパーによるモーツァルトのヴァイオリンソナタ全集Vol・7,8が発売された。2004年に始まったこのシリーズは、Vol・1発売以来、5年がかりでめでたく完結したことになる。
Vol・1が発売されたときから、オリジナルディスクのタイトルは[complete sonatas for keyboard and vaiolin]となっていたのだが、日本語仕様の[帯]には[モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ集]となっていたのは、この企画が本当に完結するまで続くかどうか確信がなかったのかもしれないが、今回の[帯]はまともに[全集]と書かれており、関係者の安堵の気持ちが伝わってきて面白い。
今回のディスクはVol・7と8の2枚組で、パッケージは通常1枚用の樹脂ケースにディスクを2枚重ねする最近流行の簡易方式である。こうした傾向への配慮か、ハイブリッド盤のクランパーの殆どは2枚重ねが可能な高さに変わっていることに気づいている方もあるだろう。ディスクを直接重ねるこの方式は、再生面に傷がつく易い懸念からユーザーの評判はイマイチなのだが、製造販売側の都合か増える傾向にあることは確かで、コストダウンのためかもしれないが歓迎しかねる傾向ではある。
収録されている曲がVol・7が31番変ロ長調KV372、フランスの歌による6つの変奏曲ト長調KV374b、第11番変ホ長調KV26、幻想曲ハ短調KV396、フランスの歌による12の変奏曲ト長調KV374bの5曲、Vol・8には第5番から第10番までのチェロを含めたヴァイオリンソナタとは言い切れない作品も6曲集めたものとなっている。演奏者には、ヴァイオリン/ポッジャー、フォルテピアノ/クーパーと書かれているが、実際にはチェロのアリソン・マクギリヴレイが加わっているのに彼女の紹介は解説書だけだ。またクーパーが弾いている楽器も、フォルテピアノではなく1766年製ジェイコブ・カークマンのチェンバロである。
Vol・6で触れたように、モーツァルトのヴァイオリンソナタ集として一般に認識されている曲は殆ど網羅されていたわけで、今回の2枚はこれまでヴァイオリンソナタとしてはあまり取り上げられなかった変奏曲やチェロを含む三重奏までも含まれており、これらに対象を広げることで、既存のモーツァルト・ヴァイオリンソナタ集に較べても収録されている曲の最も多い[全集]の名にふさわしい内容となっている。
録音はVol・7が2008年4月、英バークシャー・イーストウッドヘイの聖マーチン教会、Vol・8が2009年1月、英ロンドン・アッパーウッドの聖ジョーン・エヴァンゲリスト教会のものだ。プロデューサーはジョナサン・フリーマン=アットウッド、レコーディングエンジニアはジャレット・ザックスである。
会場の違いもあって2枚の響きは多少の違いがある。しかし本盤だけでなく、これまで発売された全集を通して一貫した音色が保たれており、オリジナル楽器による全集としての存在感を感じさせる立派な仕上がりとなっていることは喜ばしい。演奏で注文をつけるとすれば、クーパーのフォルテピアノが今回も元気が良すぎること位で、古楽器の雅な音色が古き良き時代の王侯貴族たちの楽しみの一端を思い起こさせてくれると同時に、現代楽器とは違ったしなやかさをも堪能させてくれる点で貴重な全集ができあがったという感じがする。
現代楽器に較べると雑音成分の多いオリジナル楽器の再生は難しいことは、オーディオ歴の長いマニアなら良くご存じだと思う。このシリーズはオーディオ的にも刺激的な存在になっていることは間違いない。
CHANNL CLASSICS CCS SA28109ハイブリッド盤2枚組
 
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